NASAの火星探査車「パーサビアランス」は、202年7月に打ち上げられ、2021年2月に火星に着陸した。パーサビアランスは火星に生命が存在したのかを調査している。
今回、35億年前に形成された三角州(川と湖の合流地点)で採取したサンプルの中に有機物を発見した。つまり、35億年前の火星は生物の暮らせる環境だった可能性があると考えられるという。
現在パーサビアランスは12個の岩石サンプルを採取。これらの収集物は2030年代に地球へ戻る予定だとしている。これまでも「火星に生命がいたかもしれない」と報じられたことはあるが、それと比べて何がすごいのか。それについて、化学者兼発明家でCRRA機構長の村木風海(かずみ)氏に話を聞いた。
「今までも、火星に生命がいたとしたら有機物が存在していたであろうというのがあった。生命そのものの化石ではないが、この物質が観測されたら生命がいたのでは?というのがある。その手がかりが、今まではたくさんの石の中にごくわずかに含まれているという状態だった。このパーサビアランスの探査の中で、もっとも濃い有機物がたくさん観測された。なのでより、生命がいたと考えた方が自然になってくる。ただ、まぐれの可能性もあるので、生命までは誕生しなかったけど、その手前で火星が終わったという考え方もある。そう思えるような証拠がだんだん揃ってきている」
そもそも火星に生命が存在したという調査をする必要があるのか。村木氏は「人類が地球上に住むには限界がある」と話し、その理由として「例えば家や居場所が1箇所だった場合、何か起こった際に逃げる場所がなくなり不安になるのと同じだ」と述べた。
「地球だけに人類が集まっているのは危ないことで、隕石が地球の側をかすめることが多い。この100年だとわからないが、1億年の単位で考えると、隕石が衝突して文明が絶滅している可能性も考えられる。でも、住処を2倍3倍と増やしていけば、将来的に人類繁栄していくことができるし、そのためには火星に住むことが大事。そして、生命が適しているのが火星だとわかってきたら、人類が火星に住むと想定して、“昔の火星に戻すためにどうすればいいのか”という研究も行われている。火星には太陽から出てくる放射線のようなものから守るバリアの役割をする磁場がないので、それを作ろうと物理学者は研究している。また、火星に生命の痕跡を見つけたとしたら、人類が住むための技術だけでなく、どうして星から生まれたのかという謎を解き明かすことができ、調べることで私たちが生まれたルーツを知ることができる」
(『ABEMAヒルズ』より)