NHKが目指す公共メディアをどう実現?総務省検討会では“分割案”も 識者「民放でできることをやる必要はない」
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 話題になっているNHKの受信料変更。共同通信によると「衛星契約」の料金を約200円値下げすることで最終調整しているほか、地上波だけ視聴する「地上波契約」も100円前後の値下げを検討しているという。また、親元から離れて暮らす学生については全額免除する方針で、来年10月にも改定される予定だ。

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 総務省では9月、NHKのネット事業をテレビ放送と同じ「本来業務」として認めるかどうか、その財源・受信料の制度をどうするのかなどの話し合いが始まった。来年の6月をめどに議論を取りまとめるとしている。

 スマホや動画配信サービスが普及し、若い世代を中心に視聴スタイルが大きく変化した今、NHKのネット事業はどこまで進むのか。デジタル時代の公共放送のあり方について、10日の『ABEMA Prime』は議論した。

■ネット事業=本来業務に?「舵を切っているのは間違いない」

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 現在、NHKのインターネット事業は、放送を補完するものとして「目的達成に資すること」「過大な費用を要するものでないこと」「受信料制度の趣旨に照らして不適切でないこと」などの要件がある。2022年度の予算は190.1億円(国内159.3億円、国際30.8億円)で、「NHKプラス」「NHKニュース・防災アプリ」「NHKワールドJAPAN」「らじる★らじる」などのサービスが含まれている。

 元NHK職員で特派員や国際放送局デスクなどを経験した大阪芸術大学短期大学部客員教授の立岩陽一郎氏は「本来業務にする方向だろう。NHKは自分たちのことを公共放送ではなくて『公共メディア』だと言っている。まさに放送だけではないんだと、職員の中でも徹底しようということの表れだ。電波だけじゃないという方向に舵を切っているのは間違いない」と指摘。

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 メディア激動研究所代表の水野泰志氏は「これからの1年は“本来業務にするためにどうすればいいか”が目的で、議論はもう終わっている。NHKが10年以上ずっと目指してきた公共メディアに、名実ともに脱皮するということが保証された状況だ」との見方を示す。

 オンラインサロン田端大学塾長の田端信太郎氏は「放送法に書かれているNHKの規定が明らかに時代遅れなだけだ。ネットも本来業務に、というのは、その趣旨を考えたら極めて当たり前で、ビビることは何もない。堂々とやって、邪魔されたら民意を問えばいいと思う」との考えを述べた。

■「日本的公共放送とは何か?を追求することが大事」

 イギリスの国営放送「BBC」は、「見ていないのに払うのは不公平」という声の高まりから、5月に受信料徴収廃止の検討をスタート。視聴した分の料金を払うシステムや、広告を導入する案が浮上している。

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 水野氏は「十把一絡げで公共放送という言い方をしているが、国によってあり方が全然違う。公共放送中心のヨーロッパ、民放中心のアメリカ、その間にある日本。NHKと民放が並存している特殊な放送体系を取っている世界にも珍しい国だ。だからこそ、日本的公共放送とは何か?を追求することが一番大事だ」と投げかける。

 一方、立岩氏は「NHKの最大の問題は、巨大さを維持しなければいけないところ。かつ、政治の関与がその仕組みを作ってしまっている」と指摘。

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 では、NHKは規模を小さくしたほうがいいのか、一部を切り離すのか、それとも解体すべきなのか。立岩氏は「ある程度切り離しをした上で、用途に分けた公共メディアを作っていくのはあり得ることだ。NHKがこれまで公共放送と言ってきたことに理屈はなく、1950年に放送法ができて民間放送が登場した時、『俺たちはどうなるの?』と驚愕した。“自分たちは民間放送とは違うんだ”という意味で公共放送という言葉を使っただけで、主体的に定義していない。そのままの状態でここまで来て、ネット時代に公共なメディアが必要なのか?という議論をせずに乗り切ろうとしていいのか」と述べた。

■検討会では分割案も 「民放でできることをやる必要はない」

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 総務省の検討会、有識者ヒアリングの中では、NHKの分割案も出たようだ。スリム化した公共放送として、ニュース・天気予報・児童番組などは義務的受信料で維持(現行より大幅に減額)し、ドラマなど他のコンテンツ放送事業は付加料金(選択的受信料)や広告などを入れるという提案がある。

 水野氏は「単純に考えると、民放でできることをNHKがやる必要はない。例えば、ドラマやスポーツ中継など、民放にとって“やりたい仕事”であるコンテンツを競合してやるから『民業圧迫だ』みたいな話が出てくる。公共放送はニュースや教育、あるいはお金のかかるドキュメンタリーといったものに限定して、国民が『それなら受信料を払ってもいい』と納得できる形は考えられる姿だ」と話す。

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 立岩氏は「本当にガラガラポンできるかだ。全国津々浦々のニュースを本当にNHKの職員がやらなくてはいけないのか。各地の人たちから情報をもらってもいいし、アメリカの公共放送なんかも自前で作っていなくて、いろいろな新聞社やテレビ局と一緒になって番組を作る。それでもいいはずだ。我々が意見を言って、それによって何かが変わるということを期待したい。また、受信料制度をNHKが守りたいなら、NHKだけで使わないこと。全国のメディアに支援をして初めて公共放送と呼んでもいい」とした。(『ABEMA Prime』より)

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