日本時間10月22日(土)9時からマレーシア・クアラルンプール「アクシアタ・アリーナ」で行われる【ONE Fight Night 3】。日本からは元シュートボクシング日本スーパーバンタム級王者の内藤大樹(BELLWOOD FIGHT TEAM)が出場する。内藤は5月に行われたフライ級ムエタイWGPに出場するもスーパーレックに無念の判定負けを喫して以来の再起戦。重要な一戦を控えた内藤のインタビューが届いた。
― ムエタイWGP以来の出場になりますね。試合が決まるまでいつか、いつかと待っていたかと思うのですが、どんな気持ちを持ってトレーニングをしてきましたか。
「前回、5月にスーパーレックに負けて、丁度自分の中でも10月くらいに試合ができればって思っていました。ちょっと(期間を)空けたかった理由は、前回の試合で肘打ちを結構やられたっていう思いがあって、もう一度ムエタイを見つめ直す時間が必要かなと思っていたので、すぐ試合をするっていうより半年くらい空けて試合をしたかったから、今回は丁度良いタイミングでのオファーでしたね。」
― 見つめ直すというと、どのようにでしょうか。
「基本的には、ベルウッドファイトチームって田舎の小さなジムで、トレーナーがいないので自分達で研究しながら練習をしているんですけど、もう一回やっぱりタイ、ムエタイの本場にって、実際に身体で感じたりできればと思い、7月に3週間ほどプーケットで合宿をしてきました。」
― 今後も海外での練習を検討していますか。
「今ベースはこのチームでやっていますが、海外で練習する機会は増やしたいなと思いますね。やっぱり試合でない時に海外で経験を積むとか、いろんな技術を磨くとか。そしてこっちに持ってきたい。そういうことで自分も成長しますし、ここはトレーナーもいない地方のジムなので、自分が持って来れば、また下の選手にも練習について、気持ちの部分でも伝えられることがあるのかなって思うので、なるべく試合が終わってからも海外に行って練習はしたいなって思いますね。」
― 実際にタイの合宿で学んだことについて教えてください。
「言葉で言い表しづらい部分が多いですが、直接肘打ちのテクニックのある選手だったり、首相撲の上手い選手と練習をすることで、細かい距離感だったり、ディフェンスの仕方を学べたと思いますね。実際に人と組んでみた時のタイミングが一番重要なのかなと思っています。」
― 前回の試合を振り返ってみて、一撃の強さがあったり、的確性は相手の方があったと思いますか。
「前回の試合は、1ラウンドは自分のペースかなと思っていて、行けるなと思っていたところで2ラウンドにスーパーレックがガラッとプランを変えてきて、あの肘打ちもやっぱり偶然じゃなくて狙って打ってきたと思いますし。映像見直してもそう思いますし、本当に小さい隙間を狙ってきたなと。ONEでチャンピオンになるには、そういう細かいレベルまでいかないと、というのは感じました。」
― あの試合でこれからのヒントになるようなことはありましたか。
「あの試合は、ムエタイルールで、ムエタイの試合だったんですが、自分の中でムエタイをやるつもりって正直あまりなかった。日本であまりムエタイをやっていなかったですし、今から自分でできることといえば、肘打ちを自分から打ちに行くというより、しっかりディフェンスしていくという感じでした。やっぱり、ああいうレベルで戦っていくには、自分ももう一度しっかりムエタイを学び直して、自分自身のレベルを上げる必要があるっていうのを再確認できた試合。もちろん勝ちたかったっていうのもありますし、スーパーレックっていう一流のタイの選手と試合をして、得るものは多かったです。いつか自分が肘で相手を切ったりとか、肘で倒せるくらいのレベルまで持っていければ、また武器がどんどん増えていくと思う。課題を克服するのか、そのままにしておくのか、向き合い方が今後に響いてくると思うので、苦手な部分としっかり向き合っていきたいです。」
― 今回の対戦相手、アミール・ナセリ選手についての印象をお聞かせください。
「ONEでは前回のマイケル戦が初戦だったと思うんですけど、やっぱりタフで特に身体の強い選手だなって思いますね。気持ちも強いとは思うんですけど、それが理由なのか荒い部分も多いと思います。気持ちでは耐えられないような一撃で倒したいなとは思います。」
― 警戒するポイントはどんな部分でしょうか。
「パワーがあると思うので、変に相手のペースに乗らないことが大事かなと思います。向こうは近い距離を好んで入ってくると思うんですけど、自分の距離はそこじゃないと思ってるので、その距離になるにしてもいきなりそこにいかないように注意しようと思っています。相手が近い距離で来ても、うまく受け流していきたいと思っています。サークルを背負うっていうのは、あまり良くないと思うので、サークルの真ん中で。基本的には自分がサークルの真ん中にいるイメージでいきたいと思います。」
― この試合の見どころを教えてください。
「圧力を確実にかけてくる相手に、自分がどうその圧力を捌くのか。もしかしたら、その圧力に対して、逆に自分が圧をかけることもあると思いますし、その辺の駆け引き、緊張感のある距離が続くと思うので、楽しみにして欲しいですね。今回、アメリカ放送の大会で、勝つのは最低条件として、その中でインパクトのある戦い方をしないといけないなっていうのを思っているし、そういう試合をするつもりなので、楽しみにしていて欲しいですね。」
― アメリカのファンはあまり立ち技の試合を見慣れていない、という声もありますが。
「そうですね。その中でインパクトを残せば、必然的に目に止まると思いますし、やっぱりフィニッシュを見せたいと思いますので、そこを目指していきたいと思います。」
― Amazon Prime Videoで放送ということでいつもとは違う気持ちもありますか。
「そうですね。よりアグレッシブな試合をやらないといけないというか、ONEから求められていると思っているので、お互いの手数が止まらないような試合をやりたい。そうすれば、どちらかが倒れるシーンがあると思うので、そういうのを見せていきたいです。」
― 以前、秋元選手と交流がありましたよね。秋元選手からも刺激を受けますか。
「手数が多く、アグレッシブ、身体の強いところ、自分も参考にする部分もありますね。僕はどちらかというとカウンターファイターですけど、やっぱり自分からどんどん攻めていく姿勢は見せていけたらと思いますね。練習でも前に出ていく練習をしています。常にチャンピオンである姿っていうのは刺激にもなりますし、自分が今回は先に試合をしますけど、良い形で日本人選手としてある意味仲間というか、そういう意味もあるのかなと思いますので、繋げていきたいと思います。」
― ご自身の世界タイトル挑戦まで、あとどれくらいだと考えていますか。
「やっぱり、あと1年以内にはいきたいなと思っています。タイミングもあると思うのですが、次どちらかが挑戦することは決まっていると思うんですけど、その後は今回僕が凄いインパクトのある勝ち方をすれば次のチャレンジャーとして選ばれるのかもしれませんし。なので、ある意味次の試合もタイトル戦のかかった試合だと思っているので内容にこだわっていきたいと思っていますね。勝ち方次第ですけど、内容で相応しいなと思えば、次の試合で勝てばタイトル挑戦もアピールしていきたいです。もちろんキックボクシングでも同じですけど。」
― 日本国内でも格闘技が盛り上がっていますよね。それはどう見ていますか。
「日本の格闘技、盛り上がっていて良いなと思いますけど、自分の目指すところはちょっと違うのかなって思っていて。自分は世界で1番になりたいって本当に考えていて、日本格闘技は盛り上がっていますし、日本で試合をした方が知名度とかは上がるのかなって思いますけど、自分にとっては、日本の格闘技は別物って感じで見ています。ONEを目指してくる日本人選手が増えればと思いますけど、なかなかこれから上がってくる選手たちって日本のメジャーイベントとか知名度に取られがちなのかなと思うので、本当の強さを求めるならONEが良いのかなと思いますし、若い選手にどんどんチャレンジして欲しいなって思います。」
― ONE Lumineeが来年から始まりますね。
「チャンスが増えることは良いと思います。という意味では、強豪がもっと集まってくるということですし、結果にしっかりこだわっていかないと自分も落とされてしまう可能性もあると思いますので、より緊張感を持って生活できるのかなって思いますね。」
― 最後にファンへのメッセージをお願いします。
「10月22日にクアラルンプールで、ONE Fight Night 3に出場します。5月に敗れてからの復帰戦ということで、勝つことは最低条件として、その中でもしっかりインパクトを残して勝ちたいと思いますので、日本から応援をよろしくお願いいたします。」