RISE WORLD SERIES 2022」(10月15日、東京・大田区総合体育館)のメインイベントで行われたスーパーフライ級(-53kg)タイトルマッチで、同級1位の風音(TEAM TEPPEN)を判定で破り、初防衛に成功した王者・大崎一貴(OISHI GYM)。 過去、RISEでは負け無しということもあり、下馬評通りの結果になったかと思いきや、大崎本人は忸怩たる思いを抱えていた。

 昨年行われたRISE DEAD OR ALIVE 2021 -53kgトーナメント1回戦で石井一成を破ったものの、負傷により準決勝を欠場。“ダークホース”のような立場だった風音はそこから優勝まで一気に駆け上り一躍“シンデレラボーイ”に。さらに、今年4月には那須川天心のRISEラストマッチの相手を務めるなど、王者としては受け入れがたい状況が続いていた。そんなストーリーがありながらの一戦。試合後、大崎は言葉を選ぶように感想を語ってくれた。

■「ベルトを守る」ではなく「風音選手に勝つ」

――今回初めての防衛戦、そして勢いに乗る風音選手との試合ということもあり「相当練習でも追い込んだ」ということでしたが、心に期するものがあったのでしょうか。

大崎 そうですね……今回は、ベルトを守るというよりも、「風音選手に勝ちたい」っていう思いが大きくて。昨年、彼がトーナメントを制しましたし、RISE代表として『THE MATCH 2022』にも出場していたじゃないですか。スーパーフライ級のチャンピオンは僕のはずなのに、ずっとモヤモヤしていたというか。だからこそ「今日負けたらどうしよう」っていう不安がずっとあったんですけど、ジムの会長はじめ、周囲の応援を信じてやってきて、こうして報われたことが本当に嬉しいですね。

――勝ち名乗りを受けたとき、雄叫びをあげていましたよね。解説の那須川天心さんが「いつもクールなのに珍しいですね」と話すほど、気持ちが全面に出ていましたね。

大崎 あ、本当ですか(笑)。判定決着になって、負けはないと思いつつも、ドローの可能性があったので。普段感情を表に出すのが苦手なんですけど、特別な試合だったので、自然と声が出ちゃいましたね。

――あと、4R、5Rと終盤に進むにつれ、風音選手がバチバチに打ち合って来ていましたよね。大崎選手もそれをいなすことなく、しっかりと応えていたのも印象的で。

大崎 本当は最初から来るかなと思っていたんですけどね。最後、やっぱり向かってきて、下がって防御を固めるよりは打ち合ってやろうと。気持ちで負けることがなかったのも、勝因になったと思います。

■弟・孔稀と一緒にチャンピオンに

――試合後の会見では、勝利を噛みしめる一方で、同大会に出場していた弟の孔稀選手が負けたことに「悔しい」と涙を浮かべていました。兄弟で格闘家、というケースはほかにもありますが、とくに大崎兄弟は絆が深いんだなと感じました。

大崎 子供のころから空手も一緒にやっていたし、キックボクシングになっても一緒で……他の子が遊びに行ったりしている時でも、ふたりで練習に行って、今日までそれを続けてきましたし。いいライバルでもありますし、プライベートのこともなんでも話せるし、本当になくてはならない存在ですね。

――ずっとそばに孔稀さんがいたからこそ、プレッシャーと常に隣り合わせのチャンピオンでいられるのかなと……誘導してしまうような質問ですが。

大崎 でも、それはあると思います。いつも試合前はふたりで対策練ったりとか、攻撃パターンを練習したりして。これからも一緒に頑張って、僕はこのままチャンピオンであり続けて、孔稀もチャンピオンになってもらって、兄弟でチャンピオンになるのが目標ですね。

――それも含め、今後の展望として「海外の選手と戦っていきたい」ということも話していましたね。

大崎 この階級だと国内で戦う選手も少なくなってきたというか、高みを目指していくなら世界の選手とやるべきだし、具体的にはタイ人が相手かなと思っています。もちろん強豪ばかりなんですが、以前よくムエタイルールで戦っていて、試合運びも結構分かっているので、今度はRISEの舞台でやりたいです。誰でも、いつでも来いという気持ちですね。