国民年金の支払い期間が40年→45年に? 竹中平蔵氏「これだけで暮らせる設計にはなってない」「ずっと政策をやっている私でもわからない」
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 年金保険料の納付期間を40年から45年に延長する議論を進めるとした、加藤厚生労働大臣。その背景にあるのが、先月と今月に重ねて強調した、高齢者の増加と現役世代の減少だ。

【映像】国民年金の支払い期間が40年→45年に? 損得は出てくるのか

 現在、月額1万6590円を40年納付した場合、65歳から受け取ると約6万5000円が支給される国民年金。5年間の納付期間延長で現役世代は約100万円の負担増となるが、その見返りに今後の受給額はどれほど増えるのか。厚生労働省は延長した場合の試算額など、今月から議論を開始。再来年の2024年までに結論を出し、2025年に国会で法改正を目指すとしている。

 しかし、Twitterでは「これなら納付分を貯蓄か資産運用に回したほうがいい」「同時に定年も延長しないと地獄が待ってる」「100年安心とか言ってなかった?」などとブーイングの嵐だ。

 現在の年金制度は本当に大丈夫なのか。19日の『ABEMA Prime』は専門家を交え議論した。

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 今回の政府の動きについて、第一生命経済研究所・主任エコノミストの星野卓也氏は「年金全般は基本的に少子高齢化に合わせて支給額を少しずつ減らす仕組みになっている。国民年金なんかは今でも多くないが、それをさらに減らしていくとさすがに生活が苦しくなるということで、納付期間を伸ばして保険料の収入を増やすという改革だ」と説明。

 慶応義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏は「年金関連の書類が送られてきて、ずっと政策をやっている私が見てもわからない。政府の対応は大変不親切だ。あえて言えば、わからない制度にしておくことで文句を抑えられるような面があって、民主主義社会ではよくやる手。そもそもこの議論は前の財政検証の時から出ていて、放っておかれていたわけだ。次が2024年にあるので、そこに向けて準備を始めたということ。“100年安心”の元には、小泉内閣の時に作った『マクロ経済スライド』がある。物価や経済成長などの状況に合わせて増減させようというもので、デフレの時は減らさないといけないけれども、ブーイングが出るといけないということでやらなかった」と指摘する。

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 世代によって“損得”は分かれてくるのか。「保険料を納める期間が増えて、その分(納めた人)の給付を増やすという話なので、直接的にはあまりない。ただ、基礎年金の財源は保険料と税金なので、“増税しなければいけないのではないか”という議論が出てくる可能性がある。消費税であれば皆さんが負担することになる」と星野氏。

 「私たちは受け取れるのか」ということも若者の不安としてはある。「長く働いて、受給年齢を遅らせることによって受け取る額を増やすというのが、今の若い人たちにできる手段なのかなと思う。ただ、“年金に頼らず自分で働け”というのも言い過ぎだ。生涯、死ぬまでもらえるというのはすごいメリットで、私的年金ではできないこと。自分である程度お金を貯めても、いつ死ぬかわからない状況だと不安なまま。公的年金を毛嫌いするのではなくて、むしろ“うまく使ってやる”という方向で考えていくというほうがいい」と勧める。

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 一方、竹中氏は「若い人が『もらえるかどうか心配だ』と言うが、もらえる。しかし、『暮らせるのか?』と言われると、これだけでは暮らせない。そういう設計にしようと思ったら、例えばスウェーデンみたいにもっと高い保険料を払わないといけない。国民年金はあくまでも若干の助けになる、支えになるような制度として作られているもの。『これでは暮らせない』と言う人は大人でも多いが、“あなたはそんなに保険料を払っていないだろう”ということで、自分で働いた分と併せて生きていくのが大原則だと思う」とした。

 星野氏は「“長く働こう”となると、大体の方が『勘弁してくれ。そんなに働きたくない』となってしまう。その理由を考えた時に、日本は働くことに対してすごくネガティブだ。仕事に対する満足度や、キャリア選択における満足度など、いろいろな数字が低い。それが年金の問題をなおさら難しくしている」とした上で、「働くことを前向きに捉えられる人が増えていくことが、これからの日本社会にとってすごく大事だと思う。“65歳=高齢者”にしてしまうからいろいろなことが難しくなってしまうわけで、その前提が変われば少子高齢化もかなり景色が変わってくるのではないか」との考えを示した。(『ABEMA Prime』より)

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