「学びたくても経済的な事情で学べない」。そんな学生たちを支える奨学金をより使いやすいものにしようと、奨学金に特化したサービスを提供するスタートアップ企業がある。外国と比べると遅れているという日本の現状を聞いた。
「奨学金を必要とする人、提供する人の情報が非対称というか、行き渡るプラットフォームみたいなものが存在しないので、情報が適切な人に届かない」
そう語るのは、株式会社ガクシー代表取締役の松原良輔氏。奨学金は、国主体と民間が行っているものを合わせると数千種類にも及び、それだけ多くの種類があることを知らない学生が多いという。
そこで松原氏は、学生が奨学金のことを気軽に知ってもらえるよう、日本中にある奨学金の情報を提供するためのサイトを作成した。
「ガクシーをやろうと思ったきっかけは、アメリカやインドなど世界中の大学生と触れ合う機会があって、日本の学生の学ぶ環境が海外に比べて厳しいというか、“間口が狭い”と思ったからだ」
世界と比べ、引けを取る日本の学生を取り巻く環境。それは金銭面でも感じられると指摘する。
「奨学金というか、若者に対する“お金の流れ”が海外に比べて圧倒的に少ないのが現状だ。例えばアメリカだと、高等教育費の6~7割はそういったお金で賄われている。日本の場合は圧倒的に奨学金の総量が少ない」
アメリカでは、奨学金の種類が日本よりも多く、大学卒業生からの寄付などもある。さらに、日本では卒業後返済しなければならない「貸付型の奨学金」が主流になっているのに対し、アメリカでは返済不要の「給付型」が多く、学生への支援が手厚いという。
日本の将来を担う若者の問題を解決したい。奨学金制度をよりよいものにするため松原氏は奔走する。
「日本の将来を作っていくのは今の若者だと思う。その若者の学ぶ環境や機会が、海外に比べて自由度が低いというか、諦めなければならない人が多い現状を考えると、どんどん“国力”に差がつくと思う。本当は、(奨学金の)総量を増やす動きができれば根本的な解決だと思っているが、それがまだできる下地が整っていない。ある程度プラットフォームが整ってくれば、新しく・手軽に奨学金ができるような、総量を増やすような仕組みやきっかけも作りやすくなると思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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