「グシャ」会場に響き渡った鈍い音。相手の右に合わせてフルスウィングのカウンターを打ち抜いた衝撃の1R失神。あまりの迫力に「もらっちゃった!!」と実況が絶叫したが、それ以上に驚いたのは、劇的勝利を収めるも、早期決着に力が有り余った勝者が見せた衝撃的な振る舞いだった。
10月23日にアブダビで開催された「ROAD TO UFC ASIA2022」でキ・ウォンビン(韓国)とジェカ・サラギ(インドネシア)が対戦。1ラウンド、サラギが放った右のカウンターで大本命のウォンビンが衝撃の失神KO負けを喫した。
修斗、DEEP、GLADIATORなど日本の大会でもお馴染みの韓国人ファイターであるウォンビンとインドネシアの団体王者のサラギによるROAD TO UFCライト級トーナメント準決勝。
ひと回りフレームの大きなウォンビンが、リーチを活かし遠距離からプレッシャーをかけながらパンチ、カーフを飛ばすと、対するサラギは足を使いながら大ぶりのパンチや爆発力のある蹴り、加えてパンチのコンビネーションを繰り出していく。
衝撃の結末が訪れたのは開始2分すぎ。ウォンビンに対しサラギが重い右ストレート。思わずのけぞった相手にフルスウィングで追い打ちをかけるも、これは空を切る。再びウォンビンがプレッシャーをかけ、ケージを背にしたサラギにパンチを始動した次の瞬間、サラギの渾身の右カウンターが「グシャっ」と鈍い音と共にウォンビンを打ち抜いた。ウォンビンは後ろに倒れ、頭を強打して失神。さらに追い打ちを狙うサラギにレフェリーが飛びついてストップをかけた。
序盤からサラギの一発にアラートを発していたのは、この日のABEMAゲスト解説・水垣偉弥。水垣が「あー、もらっちゃった! ドンピシャのカウンターですね」とコメントすると、視聴者からも「エグイ音がした」「パカって割れるような音がした」「顎が砕けたんじゃないか」と心配の声が殺到した。
実績から“ウォンビン優勢”との声が圧倒的だったなかで、下馬評をひっくり返すアップセットを演じたインドネシアの伏兵・サラギ。勝利者インタビューでも「しっかり練習してきました。次の相手もぶっ潰してやる!」と決勝進出に向けてアピール。さらに1ラウンド決着に体力が有り余ったか、セコンド陣に次々と吉田沙保里ばりのタックルをかけ、パウンドを真似る驚きのパフォーマンスを披露するなど、最後までご機嫌の様子だった。