「1歳刻みでフィジカルが変わる」 “全日本O-70(70歳以上)”で優勝、73歳の監督兼選手が語るサッカーの“醍醐味”
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 千葉県のとある競技場。小学生が白熱して試合を繰り広げる中、その隣のコートでプレーするのは、最高年齢86歳のメンバーがいるシニアサッカーチーム「アスレチッククラブちば」。実は、今年行われた70歳以上だけが出場できる「全日本O-70」の初代チャンピオンだ。その活躍は中国メディアにも取り上げられ、「日本とのサッカー技術との差は想像を絶する」と絶賛された。

【映像】73歳で選手兼監督・今橋一さんのプレー

 はつらつとしたプレーの裏で、自治会の揉めごとでメンバーが揃わなかったり、見ていてハラハラと心配してしまうシーンもしばしば。なぜ高齢者になってもボールを追い求めるのか。『ABEMA Prime』は73歳で選手兼監督の今橋一(はじめ)さんに話を聞いた。

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 サッカー歴は約60年の今橋さん。「指導も含めて、現役としてずっとやっていた。特に体が悪いとかもう嫌だと思うことは全くなくて、“そこにサッカーがあるから”という感じでやってきた」と話す。

 接触や体がぶつかることへの恐怖はないのか。「サッカーの中でも、コンタクトを強くする場面とスピードで圧倒する場面がある。自分はある意味スピードスターのような存在で、抜いていくタイプだ。ただ、1対1ではコンタクトする場面はたくさんある」とした上で、「足の肉離れは過去十何回とやっている。人によってはもっと大きなケアが必要なこともあるが、私の場合は何とか。たぶん体重が軽いからじゃないか」。

 大きなケガをすればプレーが難しくなるのは若い選手でも同じ。一方で、“サッカーができること”がモチベーションにもなるそうだ。「会員はたくさんいて、中には大きなケガをして退会される方、腰を痛めてから3年かけてリハビリして最近戻られた方もいる。サッカーがあるので、“早くリハビリをしてボールを蹴りたい”という方が相当数いるのではないか」と推察する。

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 また、練習プログラムにも工夫を取り入れており、「大体70歳を過ぎると1歳刻みでフィジカルが変わってくる。それから脳の活動も少し落ちてくるので、脳活をプログラムに入れている。梯子のようなところで足を動かすのを『ラダー』と言うが、手を一緒に動かす。それと同時に言葉も出す。3つの要素を活性化することで、間違えてもそれが1つの活性化になるようなプログラムを入れている」と説明した。

 シニアの場合、全国大会は20分ハーフで、リーグによっては30分ハーフだというが、運動量は相当なものがあるのではないか。「70歳を過ぎると“おじいちゃん”というイメージがあり、周りからの影響もあって“自分はもう動けない”と勘違いをしてしまう方が多い。今私がやろうとしているのは、年齢は関係ないシステムだ。よく行く整骨院の院長さんからは、『動くことであなたは生きている』と言われた。『運動をやめてしまったら、多分あなたはダメになってしまう』と。確かにそういう一面はあると思う」。

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 サッカーをやっていて醍醐味を感じる瞬間について、今橋さんは次のように語った。

 「全国大会で優勝が決まった瞬間に驚いた場面があった。自分はFWで、神谷くんという同期と12年ぐらい一緒にサッカーをやっている。自分がパスをして彼がシュート、逆に僕がパスをもらってシュートというので、おそらく100点近い得点があると思う。今回の決勝が終わって、自分は神谷を見た。そして、神谷もこっちを見ていた。恥ずかしいが、近づいて年甲斐もなくハグをした。やはりその時間が自分にとっては大変な醍醐味で、一生モノなのだろうと思う。その時の写真を神谷にあげたら、彼は額に入れて部屋に飾って、自分も部屋に飾っている。サッカーをやっていて何がいいというのは特にないが、そういう瞬間を迎えられるのがものすごく幸せなことだ」

(『ABEMA Prime』より)
 

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