河野大臣“マイナ保険証”別制度は「まれな事情で」 目指すのは「誰一人“取り残されない”デジタル化」
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 8月の第2次岸田改造内閣で3代目のデジタル大臣に就任した河野太郎氏。25日の会見では、フロッピーディスクの強制や対面講習の義務付けなど、「アナログ規制」の約9000条項を見直す方針を明らかにした。

【映像】河野大臣に聞く「マイナンバーカード一体化」

 そして議論を呼んでいるのが、2024年秋に現在の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードとの一体化を目指すという表明。事実上の義務化を意味する発言には、「取得は任意だったはずだ」「強制するようなやり方はおかしい」といった声があがった。

 一体化は今後、どのように進めていくのか。また、マイナンバーカード普及の施策について、25日の『ABEMA Prime』は河野大臣に様々な質問をぶつけた。

■「誰一人“取り残さない”ではなく、“取り残されない”デジタル化だ」

 中でも注目を集めているのが、岸田総理がマイナンバーカードを持たない人について、「資格証明書ではない制度を用意する」と述べ野党から批判を集めていることだ。一体どういうことなのか。

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 「マイナンバーカードをなくしたり、何かまれな事情で手元にない方が、(医療費の)10割負担をしなくてはいけないのかというと、保険料を払ってもらっていればそんなことはないと。今マイナンバーカードの再発行に1カ月半程度かかるが、保険証の1、2週間というスピードにできないか、その間どうするかを考えてくれというのが総理のご指示だ。2024年の秋に一本化した後、万が一手元にない時にどうするかという不安をきちんとやわらげなければいけないということ」

 来年の5月から、まずアンドロイドのスマホにマイナンバーカードの機能を搭載するというが、具体的に何ができるようになるのか。

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 「マイナポータルは今、いちいち暗証番号を入れて、マイナンバーカードを読み込む必要があるが、スマホでできるのなら顔認証だろうと。暗証番号を忘れてしまったということがないようにしたいと思っている。シンガポールのシステムなんかは顔認証で、ポケットからスマホを取り出すや否や顔認証で入っている。あれは便利だ。まずはスマホに入れて、それで行政の手続きがほとんどできるようにしていきたい」

 デジタル庁のミッションは「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」だが、実現できるのか。

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 「スマホで行政手続きをと言うと、『いや俺はスマホ使えないんだよ』という方ももちろんいらっしゃる。なので、スマホを使える人はどんどんやっていただいて、そうでない方は市役所に来てくださいと。それはOKだ。名前や住所、生年月日などの情報はぜんぶ市役所が持っているので、マイナンバーカードか何かで本人確認ができたら、あとは市役所のほうで手続きを済ませられる、あるいは最後に署名だけしてもらって終わるようにしたい。みんな『誰一人“取り残さない”』と言うが、正確には『誰一人“取り残されない”』だ。使える人は便利に、使わない人も便利になるという、そこをしっかりやっていくのが大事だと思っている」

■利便性が向上した(する)事例

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 マイナンバーカードを使って利便性が向上した事例について、河野大臣は次の3例をあげる。

・避難所の想定訓練
 宮城県の避難訓練で、A班の100人は避難所に行った想定で今まで通り住所と名前を書いて受付を、B班の100人はマイナンバーカードのアプリケーションで避難所の登録をした。前者は10分間に31人が受付をしたが、後者は2分で全員できた。さらに、マイナンバーカードに必要な情報を入れておくと、生年月日は元々入っているから「赤ちゃんが何人いる。高齢者が何人いる」ということが一発でわかる。粉ミルクをどこの避難所にどれくらい配ればいいのか、あるいはアレルギー情報が入っていれば把握できるし、誰に配れたかがわかる。避難所のスタッフも楽になり、今までとは運営を変えることができる。

・Suicaとの紐付け
 前橋市なんかはSuicaと紐付けして、マイナンバーカードをピッとかざすと、Suicaから高齢者割や障害者割引、学割で運賃が引かれていく。前橋市で福祉タクシーなどを使っている人は9割以上マイナンバーカードを持っている状況になっている。そういう例をどんどん作りたい。

・チケットの転売対策
 今、いろいろなコンサートやイベントの高額転売が話題になるが、マイナンバーカードにチケットを入れて入口でピッとやっていただく、あるいは携帯をかざすことで入れるようにできれば、高額転売の問題もなくなる。金融機関が口座の開設時に使ってくれているが、それ以外にもイベントやコンサートでも使える。“いろんなアイデアで使ってください”ということで、できるようにはなっている。

■セキュリティ面は「誤解されている」

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 情報流出などセキュリティ面に対する不安の声も根深くある。

 「マイナンバーカードのICチップには、名前、住所、生年月日、性別、顔写真しか基本的には入っていない。そこから何かが流出することはないし、仮に落としたとしても4桁の暗証番号を入れないとマイナポータルにもアクセスできない。銀行のキャッシュカードと同じように電話で止めることもできる。暗証番号を何回か間違えて入力するとロックされてしまうし、ICチップを読み出そうとすると壊れて読み出しができないようになっている。医療や税金の情報が入るという誤解から『持ち歩きたくない』と言うが、そういうものは一切入っていなくて、キャッシュカードを持って歩いているのと同じレベルだと思ってもらえればいい。

 『マイナンバーカードは家の金庫に入れとけ』みたいな話もあるが、そうではないと。持ち歩くことを想定しているし、マイナンバー自体も、自ら周知はしないでほしいというのは申し上げているが、見られたからといって特に問題はない。今、番号が見られないクレジットカードもあるので、マイナンバーカードに数字を入れる必要があるのかということは少し研究をしていきたい」

 今後のデジタル改革に向けて、どういうかたちで何を目指していくのか。河野大臣に聞くと「温」という一文字が返ってきた。

 「人口が急速に減って高齢化が進んでいる日本で温もりのある社会を作るために、人間がやらなくていいものはやめようと。ロボットやAI、それこそコンピューターにやってもらって、人間は人間がやらなきゃいけないことに特化する。デジタル化というと、特に高齢の方は昔の『モダン・タイムス』という映画で、チャップリンが歯車に挟まれて送り出されるようなイメージをするが、そうではない。人間は人間に寄り添うことに集中しましょう、温かい社会を作るためのデジタル化にしましょう、ということを目指してデジ庁を頑張っている」

(『ABEMA Prime』より)

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