きょうだいは大人になっても仲良くしないとダメ?ちょうどよい距離感とは? 引きこもりの兄がいる妹の不安
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 近年、一人っ子が多くなったとはいえ、約8割の人には兄弟姉妹がいる。幼い頃は「仲良くしなさい」と言われ、一緒に遊んだり、相談し合ったり、時にはケンカもしたり。しかし大人になるとライフステージの変化によって、自然と疎遠になる人も少なくないようだ。Twitterには、「私も下手したら兄とは十数年会っていない。元気でいてくれたらなと思う」「就職してから10年以上実家に帰っていないが、兄弟姉妹には会いたくないのが本音」といった声があがる。

【映像】ひきこもりの兄と疎遠7年…妹「将来が不安」

 高千穂大学の吉原千賀教授は「配偶者やパートナーがいる・いない、子どもがいる・いない、仕事の有無といったことで、どうしても日々の生活に追われるようになっていく。そうすると、兄弟の相対的な順位が低くなって、関わりが薄くなっていくのではないか」との見方を示す。

 さらに、ある理由できょうだい関係に悩んでいる人も。「兄がいるが、無職でいま(実家に)ひきこもりの状態」。30代前半のあおいさんは現在、夫と2人暮らし。兄とは折り合いが悪く、疎遠な状態が7年ほど続いているという。懸念しているのは、将来的にその兄に自分の生活が脅かされるかもしれないこと。「兄が自立できなかった場合、両親が亡くなった後で私に負担が来るのではないかなという不安がある」。

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 他にも介護、遺産相続、大人になった兄弟姉妹だからこそこじれる問題。どこまで仲良くすべきなのか。26日の『ABEMA Prime』は、あおいさんと5人きょうだいの末っ子であるryuchellを交え議論した。

 あおいさんの3歳差の兄は、海外の大学に留学するも周りのレベルについていけず退学し、日本に帰国してからは通信制の大学を卒業。現在は、「いわゆるひきこもりのイメージとはちょっと違って、ゲームとかはしない。表向きは資格取得の勉強をずっとしているが、アルバイトもしないし、ボランティアとかもしない。人との関係を断絶している状態」だという。

 兄について両親とは話していないそうで、「まず父は家族のことに関して一切無関心で、そういう話をしたことがない。母に関しては一度、私の方から『兄の将来について不安がある』『資格取得のために勉強はしているけど、社会に馴染めていないからアルバイトだけでもさせたほうがいいんじゃないの』と伝えたが、母は感情的になるばかり。『あんたは一緒に住んでいないから何もわかってない』『本人には難しいことなんだ』という感じで、話し合いにならなかった。それから余計なことは言わないで見守っておこうと思っている」と明かす。

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 民法第877条(扶養義務者)によると、「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある」。一方で、兄弟姉妹が働けない状況だった場合、生活保護を受けさせることや、高齢者の場合は保護下でも入れる施設がある。兄弟姉妹に借金がある場合は、保証人になっている場合を除いて返済義務はなく、借金も相続放棄が可能だ。

 「兄は今、生活保護は受けていない状態だ。パニック障害など心の病があると思うが、クリニックに行かないし、行きたがらない。なので、診断もされていない」とあおいさん。そんな中、「『あなたの今後が不安。私が将来の負担を被るのは嫌なので縁を切ります』と言うのも、現実的には難しい」という悩みを抱えている。

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 吉原氏は「きょうだいや家族“だからすべき”という声が社会から聞こえてくることがある。あおいさんのように、縁を切ったりきっぱり言うことが冷たいんじゃないか、悪いことなんじゃないかと思ってしまうところに悩みの種がある」とした上で、「ケースバイケースだが、距離を取ることが難しい時に相続で揉めることがよくあるが、銀行の方に入ってもらう。親が健在なうちにやってもらうことで、きょうだいが乗り越えてうまくやっていけることがある。あるいは弁護士などの専門家に入ってもらうことで、ほどよい距離感を保てる部分があると思う」と勧める。

 あおいさんの話にryuchellは「お兄ちゃんに『甘やかされたじゃん』、親にも『甘やかしすぎだよ。もう大人なんだから』と言いたい時もあるけど、放っておけないからずっとモヤモヤしている。少なからず、それでも関わっていたいという気持ちがあると思うから、その活力をもって向き合うことは大切だ。いくら話しても感情的になるのであれば文章で手紙に書いたり、連絡を頻繁にしたりする。切れないのであれば、それなりに続けなきければいけない部分もある。過去の経験もあるし、本当に大変だと思う。親御さんにも、お兄ちゃんにも向き合ってほしい」という思いを伝えた。

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 あおいさんは「こういったことを世間に知らしめたということが恥ずかしい、何をやっているんだとすごく怒られる」ことから、番組への出演は親に秘密にしているという。一方で、現在のモヤモヤした気持ちを伝えたい思いもあるそうだ。

 ryuchellは「いろいろな家族の形があって、普段の会話の中で家族の話をしづらいとか、家庭環境が悪い人たちもいると思う。『実は自分は兄弟と疎遠だ』『親の介護をどうしていけばいいか』というコミュニケーションをSNS上で、匿名でもいいから意見を交換し合えたり、誰かの居場所になれたりするといいのではないか」との考えを述べた。(『ABEMA Prime』より)
 

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