元山口組系会長「異常に興奮する」 餃子の王将・社長射殺、容疑者が「タバコの吸い殻」を残した心境
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 中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの大東隆行社長(当時)を2013年に射殺したとして、特定危険指定暴力団・工藤会系「石田組」幹部の田中幸雄容疑者(56)が逮捕された。田中容疑者は、2008年に福岡で起きた大手ゼネコン社員の銃撃事件で2018年に逮捕・起訴されて、現在は懲役10年の服役中だ。

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 逃走に使われたとみられる盗難バイクは、事件の翌年、現場から2キロ離れたマンションの駐車場で発見され、ハンドルからは硝煙反応が出た。付近に落ちていたタバコの吸い殻のDNAが田中容疑者と一致し、その後、様々な状況証拠を積み重ねて逮捕に至ったという。

 「餃子の王将」は事件後、暴力団が関与しているのではないかとの報道を受けて、第三者委員会を立ち上げた。調査によると、大東氏の社長就任以前から、「王将」創業家はある企業経営者と総額260億円にのぼる不適切な取引を繰り返していた。大東氏は、その状況を解消すべく、社内対策を取締役会で報告していて、直後に殺害された。なお第三者委員会は、反社会的勢力との関係は確認されなかったと結論づけている。

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 では、大東氏殺害に至った動機は何だったのか。元福岡県警で工藤会対策課だった藪正孝氏は、『ABEMA的ニュースショー』の取材に、「餃子の王将」と工藤会とのつながりは聞いたことがないと答える。藪氏は、田中容疑者に「直接的な動機はない」とみていて、「誰かに襲撃を指示されたのではないか」と指摘する。

 元山口組系「義竜会」会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰する竹垣悟氏は、大東氏が「カタギ」にもかかわらず、至近距離から4発、急所を撃たれたことに注目し、「組織の利益が絡んだら、(殺害を担う)『ヒットマン』は本人の恨みがなくても人を殺す」とコメントする。竹垣氏によると、かつてヒットマンには昇進や昇給などの好待遇もあったが、「今の時代はなかなか少ない」そうだ。

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 現場にはタバコの吸い殻が残されていたが、用意周到ながら証拠を残すことはあるのだろうか。自身の経験もまじえて、「とにかく異常な興奮をする。タバコでも吸って、一服落ち着かせて、ということだと思う」と竹垣氏は分析する。

 すでに7年前、タバコの吸い殻から、田中容疑者の名前は浮上していたと伝えられている。その点について藪氏は、DNA資料は有力な証拠ではあるが、犯人と断定するほどではなく、状況証拠を積み重ねた結果だろうと推測する。自身の鑑識課長時代にも、実行犯がDNA資料を現場に残していた事例があったという。

 「石田組」組長は工藤会のナンバー4にあたる位置づけで、田中容疑者は組のナンバー3であることから、トップの信頼も厚かっただろうと指摘。当時の石田組は「金になることは、どのような事件もいとわない」存在で、覚醒剤の密売から、特殊詐欺、ヤミ金まで手を広げていたと振り返る。

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 藪氏によると、ヒットマンには「トップの信頼」「度胸」「口の堅さ」が必要なため、同じ人物が複数の犯行に関わることも多いという。

 「一番悪いのは、実行犯よりも、それを命じた人間。ぜひそこまで(捜査で)のぼり詰めてほしいが、まだまだハードルが高い。今回の事件でも、田中容疑者は完全否認ではないかと推測している。口を割って得になることが何もない。おそらく本人たちは、有罪になるとは思っていない」(藪氏)

 過去には、殺人事件の現場周辺でDNA資料が出ていても、無罪になったケースがあるという。もし状況証拠が足りなかったら、本人の自供がない限り、起訴はできても、有罪のハードルは高いのではないかと藪氏はみている。(『ABEMA的ニュースショー』より)

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