たった3分で自動車盗難 新たな手口「CANインベーダー」の脅威 「国際的な犯罪組織が売る“闇のルート”はある」
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「今年の3月に購入したばかりなので、ちょっとやるせない気持ちだった」

 わずか3分ほどで自動車を盗難する、新たな手口「CANインベーダー」で、1300万円相当の愛車を盗まれた男性は、こう振り返る。同様の被害は、ここ2週間だけでも福岡、名古屋、静岡と各地で報告されている。

【映像】“1300万円相当”の愛車が盗まれる瞬間

 加藤電機(愛知県名古屋市)の加藤学社長によると、CANインベーダーでは、車のコンピューターネットワークに直接侵入する。小さく簡単なツールを使って、ドアの開閉や、エンジンの始動など、直にコントロールできてしまう。

 近年の自動車は、あらゆるパーツが「CANシステム」によって制御されている。1980年代にドイツで考案され、わずか2本の配線でコントロールできるもので、そこへ侵入するのがCANインベーダーの手口だ。

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 加藤学氏によると、これまではスマートキーの電波を傍受して、ドアを開けて盗む「リレーアタック」が主流だったが、CANインベーダーであれば駐車場に止めてある自動車なら、どれでも簡単に盗めてしまうという。

 CANシステムには、ヘッドライトからドアコントロールやエンジン始動ができる、セキュリティの脆弱性(ぜいじゃくせい)もある。加藤電機では防犯装置を開発し、一定の効果の報告もあるというが、さらに上回る窃盗器具が出てくるおそれはある。

 自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏によると、CANインベーダーはロシアのサイトで、具体的な対応車種名とともに販売されている。試しにメッセージを送ってみたところ、詳細な取扱説明書が届いたそうだ。なお日本での盗難車は、主に中東へと流れるという。

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「日本で仕入れた安い中古車を輸出するという形にして、実はコンテナの中で車を入れ替えて、そのまま船に積む。国際的な犯罪組織が売る『闇のルート』はあると思う」(加藤久美子氏)

 愛車を盗まれても、なかなか警察が動いてくれない。そのもどかしさから、みずから捜索することにした男性は、GPSの位置情報を追っていくと、トラックのコンテナにたどり着いた。警官とともに開けると、外装はボロボロ、キーシリンダーも破壊された、変わり果てた愛車があった。それから数カ月後、ようやく2人の犯人が逮捕された。

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 加藤久美子氏によると、CANインベーダーでの被害は3〜4年前から増え始め、当初から自動車メーカーは危機感を覚えていたと語る。日本損害保険協会のデータでは、盗難車が発見される確率は24%、見つからないのは76%。つまり4台に1台しか戻ってこない。

「自動車の盗難は、大きくわけて2系統ある。CANインベーダーで盗まれるのは新しい車が多い。もうひとつは80〜90年代の国産スポーツカーで、海外で人気のため盗まれる傾向にある」(加藤久美子氏)

 とくに旧車の場合は、車両保険に入りづらいうえに、若いオーナーの場合は保険や車庫にお金を掛けにくい傾向がある。しかし、お金を掛けてでも、ちゃんとした店舗で、間違いのないセキュリティーを施して、犯人が事前に下見することも念頭に置きつつ、「自分の車も盗まれる可能性がある」と意識することが重要だと、加藤久美子氏は指摘している。(『ABEMA的ニュースショー』より)

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