将棋の棋王戦コナミグループ杯は11月3日、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)と佐藤天彦九段(34)が挑戦者決定トーナメントの対局を行っている。ABEMAの中継には、立命館大学OIC総合研究機構客員研究員で女流棋士の武富礼衣女流初段(23)が出演。解説の合間には、自身が研究に取り組む「棋士の脳内将棋盤」についての話題に触れ、ともに出演した三浦弘行九段、視聴者から「興味深い!」「おもしろい話」と多くのコメントが寄せられた。
武富女流初段は、立命館大学総合心理学部を卒業。今年4月には立命館大学OIC総合研究機構客員研究員に就任し、“二刀流”の多忙な日々を送る。現在の研究テーマは「棋士の脳内将棋盤」について。担当教授から「脳内盤があるというのは、棋士特有のもの。実際に視覚でとらえているものとは別に、脳内にある将棋盤を動かして形勢判断をするのは特殊能力」との助言を受け、脳内盤の多様性を研究テーマにしているという。それを知った三浦九段は「ちょっとこれ、大事な話なんで!無駄話じゃないですよ。どういうことですか?」と身を乗り出して問いかけた。
棋士が持つ脳内盤はそれぞれ見え方に違いがあるといい、「一字駒で浮かぶ方もいれば、暗黒物質型といって盤や駒ではなく黒いぼんやりとした概念だけが浮かんでいる方、背景に色がついていたりモノクロだったり、見たもの、時によって背景が変わる方もいるようです」と語った。武富女流初段は、「読む過程は一緒なのに脳内に浮かぶ将棋盤は多様性がある。すごく面白いなと思っています」と続けた。
武富女流初段がインタビューをした中では、過去に一番練習をした盤が浮かぶタイプの棋士も多く存在していたという。中でも、大阪大学大学院で哲学を学んだ異色の経歴を持つ糸谷哲郎八段(34)の脳内盤は特殊。日本将棋連盟公式のオンライン対局サイト「将棋倶楽部24の盤面が浮かんでいて、持ち駒も『歩×4』のように出てくる」と話していたといい、「詳しくインタビューしなきゃ!って思いました」と研究者魂に火がついたようだ。
現在将棋界最多の五冠を保持する藤井竜王は、過去に「脳内に将棋盤はない」と答えており、武富女流初段もタイトル戦などで同じ現場に行った際には直接インタビューを行っているという。武富女流初段のユニークな研究内容に、ファンからは「レイチェルの研究発表ぜひ見たい!」「なるほどわからん」「竜王にないって言われちゃあね…」「おもしろい話」と様々な声が上がっていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)