「鼻からスイカ」と喩えられることがあるほどの出産時の激痛だが、麻酔を使って陣痛の痛みを和らげながら出産する「無痛分娩」という方法がある。
【映像】第3子を出産する女性がYouTubeに公開した“無痛分娩”レポート(一部)
海外では主流のところもあるが、日本は増加傾向にあってもまだ1割ほど。その背景の1つが、「無痛は甘え」「痛みを乗り越えてこそ母親」「無痛分娩=危ない」という、根強く残る否定的な風潮だ。
2日の『ABEMA Prime』では当事者に話を聞くとともに、実業家・ハヤカワ五味氏の「無痛分娩って名前やめませんか?」という提案をもとに議論を交わした。
「無痛と言うから『痛みがなくてよろしいですね』と言われてしまうが、『麻酔分娩』でもいいのではないかと。無痛という言葉はちょっと煽り度が高いと思ってしまう」と述べるハヤカワ五味氏。
フリーアナウンサーの柴田阿弥は「私は結婚したくないし、たぶん子育てもしないんじゃないかなと思っている側からすると、出産は相当怖い。逆に無痛と聞いて『痛くないの?』くらいに思わないと、ちょっと挑めないなと。今は知識が入ってきやすい分、躊躇してしまう女性が多いと思うので、このままの名前で理解が広がるのが一番いいと思う」とコメント。
AKB48の柏木由紀は「『和痛分娩』はどうか。痛みを和らげるぐらいで産んでいます、みたいな。無はちょっと行き過ぎだから、それぐらいがピンとくるという感じがしている」との見解。
そもそもなぜ無痛分娩という名前がついたのか。医師で無痛分娩コンサルタントの入駒慎吾氏は「もともと日本にない医療行為だった。我々の先輩たちが海外へ痛みを取る“Labor Analgesia”という分娩を見に行った時に、全く痛くなさそうじゃないかということで『無痛』と名付けてしまった。それがもう医学用語になり、用語集にも載り、厚労省でも使っているネーミングになっている。Labor Analgesiaを直訳すると『鎮痛分娩』で、その意味をしっかり理解するほうがよかったのだろう」と説明した。
第1子は無痛分娩、世間の声に後ろめたさを感じ、第2子は自然分娩で産んだという2児の母のミカさん(仮名)は「私は分娩(麻酔あり・なし)がいいと思う」と提案。「無痛を選ぶ人だけではなくて、選べない人や選ばない人もいると思う。新しい呪いを作らないためにも、主観を排除するのがいいと思っている」と実体験を踏まえて話す。
入駒氏は「分娩をどうするかは、妊婦さん個人の価値観によって決めるバースプランの選択肢の1つにすぎない。それを医療従事者が提供して、周りの皆さんも“それを選んだのね”と見守るだけでいい。名前が急に変わることは難しいが、こういった報道で中身を学んでいけるといいと思う」と呼びかけた。
ハヤカワ五味氏は「例えば、産後の授乳をいつからするかというのも、本当は個人が決めたらいい話だ。“こうしなきゃいけない”みたいに決められたり、本人が選べないという状況が一番よくない」と話した上で、「ミカさんがおっしゃっていた『分娩(麻酔あり・なし)』が、上下がなくフラットで一番いいのかな」とうなずいた。(『ABEMA Prime』より)
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