コロナ禍で密を避けるため、利用者が増えた自転車。感染リスクが避けられるだけでなく、運動不足解消にもなるということで人気になっている。
【映像】「歩行者にベル」はOK? 自転車ルールを◯✕でおさらい
しかし先月末、警視庁が動いた。重大事故につながる「信号無視」「一時不停止」「右側通行」「徐行せずに歩道を通行」の4つの違反について、取り締まりを強化した。これまで「警告」にとどめることが多かったが、今後は積極的に「赤切符」を交付。3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が課されるケースも。
背景にあるのは、なかなか減らない自転車事故の件数だ。警視庁によると、都内の交通事故の発生件数は減少傾向の一方、自転車が関係する事故の割合は年々増加し、去年は全体の約44%を占めている。
「免許ないだけに適当に乗ってる人多い」「自転車レーンとかもっとちゃんと整備しようよ」などネットで賛否両論があがる中、7日の『ABEMA Prime』は必要な対策を議論した。
サイクルライフナビゲーターでNPO法人「自転車活用推進研究会」理事の絹代氏は、「ルール自体は変わっておらず、表現が変わってきている」と話す。
「4つの取り締まり厳格化に関しては、どれも乗る方を守るためのルールだ。重篤な事故を調べていくと、自転車側にルール違反がある場合がほとんどで、信号無視や一時停止をせずフルスピードで交差点に突っ込んで轢かれてしまったという方が多い。右側通行がいけないのは、自分が事故にあう可能性が増えるから。歩道上の徐行も、歩行者との接触が非常に増えていて、重い電動アシスト自転車がおじいちゃんおばあちゃんにぶつかったら命を落としてしまうかもしれない。自分が事故にあわない、加害者にならないところを突き詰めて、際立ったものを取り上げてわかりやすいメッセージとして出したと思う」
7月、都内で自転車によるフードデリバリー中に赤切符を交付されたるーつ氏。当時の状況について、「車の信号は赤だったが、信号がない横断歩道を突っ切ってしまった。歩行者が少なかったので『行ける』と進んだら、奥にいた警察官に捕まった。その時は配達中で免許証がなく、1時間後に警察署へ行き、事実確認を受けて、初めて赤切符をもらった。結局、初犯だったのもあって、罰金も講習もなく注意だけで終わったが、2回目の場合は講習3時間と罰金が科されるようだ」と説明。
るーつ氏の事例は取り締まり強化前だったが、今変わった点はあるのか。絹代氏は「基本的なルールは変わっていない」と繰り返した上で、「初犯ということもあり、よほど悪意がある場合でなければ起訴もされない。ただ、4つの違反に関しては、今までイエローカードを渡されていたのが、最初からレッドカードが出てくる」とした。
一方で、元衆議院議員で弁護士の菅野志桜里氏は「誰もが被害者にも加害者にもなるので、しっかり規制することは大事。違反してしまった人の弁解や反論でよくあるのが、『そんなの聞いてないよ』『全部守るのは無理だ』ということ。この2つが腹落ちしないと“不運でノルマの犠牲になった”と感じてしまい、“次はちゃんと守ろう”という気になれない。あと、車道を行けといっても、『車道も結構危ないんですけど』という状況がある。そこも整備してもらって、知っていた→できた→でもやらなかった→ちゃんと守ろう、という流れにすることが大事だと思う」と指摘する。
NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「シェアサイクルを利用してフードデリバリーをするなど、(自転車の利用法が)多様化していることは間違いない。電動キックボードは規制緩和でヘルメット着用が任意になるが、こういうダブルスタンダードをやってはいけない。要は、政治力のある団体・業界は“別にヘルメットなしでいいよ”とする一方で、政治力のない業界は“ヘルメットを大人もつけてください”となるわけだ。政府がダブルスタンダードになってしまうと、先ほどの腹落ちしないということになっていく。そして、トラックや配達業者が止まっているから車道には出られない。自転車のルールだけではなく、車を運転する人たちも気をつけましょうということも考えて、一体的な運用にすることが必要だと思う」との見方を示した。(『ABEMA Prime』より)
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