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 19日にシンガポールで開催される「ONE 163: AKIMOTO VS. PETCHTANONG」。そのメインイベントで、秋元皓貴がONEバンタム級キックボクシング世界タイトルの初防衛戦に臨む。絶対王者・カピタンを撃破し、ONEで日本人初となるキックボクシングのチャンピオンとなってファンを熱狂の渦に巻き込んだ5ラウンドの死闘から8カ月が経過し、初防衛戦を控えた秋元にONEがインタビューを行った。

― 前回の試合から8カ月経ちました。改めて試合を振り返ってみてもらえますか。

「やっぱり、今思い返しても本当にタフな試合だったと思います。でも、しっかりと今まで自分が練習してきたことを出せたっていのはすごく良かったのかなと思います」

― カピタンはなかなか倒れない選手だったと思うのですが、実際に戦ってみてどれだけタフな選手でしたか。

「2ラウンド目で、いけるって。確実に勝てるって思ったんですけど、それでも5ラウンドまで一瞬でも気を抜いたら負ける、やられちゃうっていうのは常に思っていました。一発がある選手ですし、本当にギリギリまで気が抜けない戦いでした」

― 世界タイトルを獲った後に感情が込み上げている様子が見られました。改めて、あの時の気持ちを振り返っていただけますか。

「長いのか、短いのかはわからないですけど、キックボクシングに転向してきてから3年半、4年で世界タイトルを獲得できました。自分の中では(この期間が)すごい濃い時間だったので、報われたというか。ここからがスタートですけど、まずはやってきた事が間違っていなかったんだと思い、とても嬉しかったです」

― 今回の試合はチャンピオンとして臨むわけですが、試合に向けての気持ちに変化はありましたか。

「それは全く変わらないです。この試合は防衛戦でもあるかもしれないですけど、僕にとってはこれも挑戦の一つ。なので、これまでと変わらずしっかりとトレーニングをするってことでは、変わらないです」

― ペッタノンについて、ファイターとしての印象は。

「ここ最近は試合数が多くない選手ですけど、過去にはたくさんの試合をしていますし、たくさんのタイトルを獲得している。本当にベテランで、レジェンドと言っても良い選手だと思います」

― ペッタノンはフィジカルも大きく見えます。

「本当に体は大きいですけど、そこはそんなに意識していないです。それよりも経験が豊富なので、過去の映像とかを見ていると、タイミングを取るのが上手い選手だなっていう印象があるので、それをいかに崩すか。相手の都合の良いタイミングで攻撃をさせないように、いかに動くかが重要になると思います」

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■「この階級でONEのサークルの中での世界一は自分。それを証明する」

― この試合はどんなプランで行きますか。話せる範囲で教えてください。

「もちろん倒すことを前提として戦っていくんですけど、自分はスタミナにも自信があるので、1ラウンドからどんどん削って、削っていきます。自分は、5ラウンドまでフルで動けますけど、削って相手がフラフラになるような試合にするのも面白いと思う。チャンスがあればしっかりと倒しにいきたいと思います」

― この試合は接戦になると思うのか、それとも頭脳戦のような形になると思いますか。

「自分が見せたいのは、しっかりと1ラウンドからプレッシャーをかけていって完封すること。自分だけが攻撃して相手には攻撃させないっていうのが、今回のテーマです」

― この試合は大会のメインイベントでもあり、日本ではペイ・パー・ビューとなりました。自分が最高レベルにいる、そう実感はありますか。

「もちろん自分がチャンピオンだってことを自覚して、この8カ月間トレーニングしてきましたし、本当にこの階級でONEのサークルの中での世界一は自分だと思っているので、それをしっかりと証明したいと思います」

― デメトリアス・ジョンソンが、ジョー・ローガンとのポッドキャストで、彼のお気に入りの選手は秋元選手だと話していましたが、それを聞いてどう思いますか。

「自分が意識してトレーニングして、それを試合で出して、それを他の選手が、MMAの選手ですけど評価してくれて、好きな選手として選んでくれるのはすごい嬉しいことだと思います。自分もデメトリアス・ジョンソン選手のことが本当に好きで、タイトルを獲得した時の右ストレートから飛び膝までの間が僕はすごいなと思いますし、本当にリスペクトしています」

―  ONEは今年の夏から、北米向けにアマゾン・プライムビデオでの生中継が始まり、これまでより多くの人から試合を見られるようになりました。これから、どんな自分を見せていきたいですか。

「もちろん格闘技といえばノックアウトを求められるところだし、自分も求めています。でも、それよりも自分が自信を持っているのはスピードとかテクニックの部分なので、自分はそう言うところを見せて、もちろんKOもしたいですけど、完封するっていうのがテーマにあるので、そこを評価してもらえたり、見て楽しんでもらえたらって思います」

― 現在、世界王者である秋元選手にとって、今の目標は何でしょうか。

格闘家としては、これをどこまで守り切るかっていうのが一番の目標になる。これから他団体からもONEに選手が入ってくると思いますし、今いる選手もそうですし、一人一人を倒していって、この階級では最強、無敵のチャンピオンになりたいです。」

― これまでのONEでの立ち位置を振り返ってみてどう思いますか。

「キックボクサーとしての自分は、世界に全く知られていないという状況でした。もちろん空手では世界チャンピオンになりましたが。それでONEのキックボクシングに参戦して、周りはもう既にどこかしらの世界タイトルを獲った選手しかきていない状況で、もちろん自分が下に見られるっていうのはしょうがないし、実際に当時の自分は、そこまで自信がなかったし。でも、そんなの関係ないと思って、絶対負けるかっていう気持ちだけで駆け上がってきました。今回は流石にアンダードッグではないと思うんですが、少しずつ評価されていったのは嬉しいし、これからもそういう評価をされるような選手であり続けたいと思います」

― チャンピオンになるまでタフな相手との試合が続き、アンダードッグ扱いをされてきたことが多かったと思います。それでも自分の強さを証明してきたと思うのですが、ご自身では、このONEでの道のりをどう感じていますか。

「正直言うと、ジャン・チェンロンとの一戦目の話をもらった時に勝てるとは思わなくて。コーチと話して、7週間あればいける。7週間あれば勝つところまでいける、って。そういう状況の試合をたくさん(ONE)でやってきたからこそ僕は一気に成長できたと思います。試合が決まった時は自分の方が弱かったかもしれない、でも試合をするまでに越えて、しっかりと試合で勝ってきたと言うのは自分の中のプライド。やってきた自信がある。そう言う厳しい相手と戦ってきたからこそ、自分が成長させてもらったと思っています」

― タイトルマッチを組まれた時も、秋元選手がアンダードッグという声もあった。それはどう感じていましたか。

「自分としては、カピタンとタイトルをかけて戦うっていうのは、彼がチャンピオンになった時から思っていたんで。(自分が戦うまでチャンピオンが)変わることはないだろうと。そう思っていたので、まさかカピタンが(自分との)試合でああいう風な姿を晒すっていうのは誰も予想していなかっただろうし。ただ自分は、カピタンとやるっていうのはずっと、1年以上前から思っていたので、その準備の差が顕著に出たのかなと思います。もちろんアンダードッグって思われているのは理解していたんですけど、でもしっかりと準備してきたってことがあったので、見とけよっていうか、ここで自分の強さを見せつけてやるっていうのはすごく思っていました」

― 前回の世界タイトルマッチで自分が証明できたことはなんだと思いますか。

「本当に自分の試合っていうのは、見ているとそこまでわからないと思うし、見ているだけだとポイントを稼ぐファイターって思われるかもしれません。でも、どの試合でもしっかりと相手にダメージを与えているんです。正直、ONEで階級を上げてから4戦して、相手から攻撃されたダメージってほとんどなくて、自分が攻撃したダメージしか今までない。カピタンもその前に戦った選手たちもそうですが、みんな僕と試合をした後、抱えられてサークルから降りていったり、サークルから降りたら車椅子で退場していく選手がいたり、やってみて初めて(僕の攻撃の強さに)気づいたんじゃないかなと思います。僕は攻撃をもらっていなかったりとか、攻撃のもらい方がうまいっていう部分を見てほしいなって思うし、そういうところに中々気づいてもらえないと思うんですけど、これからもそういう自分の強さを見せていって証明したいですね」

― カピタンとの試合は、キックボクシングの試合では一番タフな試合でしたか。

「5ラウンドっていうのもありますけど、今までで一番蹴ったし、一番パンチも打ったし、一番攻撃した試合だなと思います。一番タフな試合でしたけど、しっかりとそこを自分が勝ち取ったからこのベルトを取れたと思います」

― ここで世界王者になり、タイトルを防衛する意味というのはどう考えていますか。

「ONEスーパーシリーズ、キックボクシングもムエタイもそうですが、ここが本当に世界最高峰で、このベルトが本当の世界一だと自分は思っています。自分は、SNSで自分のことをアピールするのとかは苦手だし、これからもそういうのをしていくつもりはないですけど、このタイトルを守っていってしっかりと自分の強さを試合で証明できるように、これからも頑張っていきたいなと思います。」

(C)ONE Championship

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