警視庁などによると11日午前3時15分ごろ、世田谷区成城の元プロ野球選手の村田兆治さん(72)の住宅から火が出た。村田さんは2階から意識不明の重体で病院に搬送されたが、午前5時57分に死亡が確認された。
村田さんは今年9月、羽田空港の保安検査場で所持していた携帯電話を預けず、金属探知機に何度も反応して通れなかったことに腹を立て、30代の女性検査員の肩を押すなどした暴行の疑いで現行犯逮捕されていた。その後、村田さんは送検されたが、9月25日に釈放された。
このニュースについて、精神科医でスポーツメンタルアドバイザーの木村好珠氏に話を聞いた。
――村田さんの訃報を聞いて、心にポッカリと穴が空いたような感覚に陥った人もいるかもしれません。このニュースをどう受け止めればいいのでしょうか?
「村田さんが現役で活躍されていた姿を見ていた世代は、『あの時代の人が亡くなってしまったんだ』と、自分と同一化してしまう。自分も死が近い年齢になっているのだというふうに、少し悲しい気持ちになってしまう。一方で、例えばコロナ禍で志村けんさんなど色々な著名人の死があったが、その場合は特にファンの年齢層が幅広く、心にポッカリと穴が空いてしまう」
「ファンにとって著名人は身近な存在ではないと思われがち。しかし、ファンは特別な思いを持っているので、著名人は“身近な存在”となり、自分の身近な方が亡くなってしまった時とかなり近い状況になる。そうした時に落ち込むのは当然の反応だということはわかってほしい。その上で、孤独にならないこともすごく大切。ファン同士で、楽しかった思い出を分かち合う。少しずつ、時間をかけながら受容していくのが大切」
――本当に辛い時には、テレビやSNSなどから離れてほしいですね。
「著名人が亡くなると色々なニュースが報道されるし、SNSには“ショック”を色々な表現で伝える人がいる。そういうニュースを見てしまうと『なんだよ』という気持ちがどんどん強くなってしまうので、本当に辛い時は少しネットやニュースから遠ざかることを意識してほしい」
――実際に身近な方が亡くなった場合は、どのようにして心を保てば良いのでしょうか?
「身近な方が亡くなった時に、特にこうした突然の死が訪れた時に、すぐに受け入れるのは無理。時間がかかるのは仕方のないこと。『悲しい』『辛い』という感情は当然の反応なので、まずはそれを受け止める。そう感じるのは仕方のないことだから、周りの方も責めるようなことはしないでほしい。身近な人だったら、周りにいる家族や友人もその人との思い出がいっぱいあると思う。その思い出について一緒に話しながら故人を偲んで、少しずつ自分の中でも受け入れて前を向いていくのがいい」
(『ABEMAヒルズ』より)