「60歳でリタイア」できない? 年金の“納付期間” 延長論に現実味
【解説】知っておきたい年金の仕組み
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 政府が検討を始めている年金納付期間の延長が本格化する。厚生労働省では今どのような議論が行われているのだろうか。

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 テレビ朝日の社会部・厚労省担当の藤原妃奈子記者はこう語る。

「国民全員の加入が義務になっている国民年金ですが、現状は20歳から60歳までの40年間の保険料の支払い義務があり、払い続けた場合、原則65歳から今年度だと月に満額で約6万5000円受け取れます。一方で、厚生労働省では保険料を支払う期間を20歳から65歳までの『45年』に延長する議論が始まっていて、仮に5年間延長した場合、5年間の納付額は単純計算で99万5400円で、負担額が増えると予想されています」(以下、藤原記者)

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 国民にとって負担増となる年金納付期間の延長。検討の背景には何があるのだろうか。

「理由は大きく分けて2つです。1つは国民年金の給付水準の維持と向上です。1950年は15~64歳のいわゆる現役世代の約12.1人で高齢者1人を支えていました。これが2020年には約2.1人で1人、2065年には約1.3人で高齢者1人を支えなくてはいけないと予想されています。年金は保険料と給付のバランスを保つ仕組みが導入されていて、このまま保険料の入りが少なくなると、その分給付額も下がり続けてしまいます。それを防ぐ目的があるということです。2つ目は高齢者の就業率が大きく上がっているからです。現在の年金制度ができた1961年時点では、『60歳を超えると所得能力が減衰し保険料を負担する能力がなくなる』とされていましたが、2011年時点で60歳~64歳の就業率は57.1%。2021年では71.5%と大きく上がっています」

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 藤原記者によると、納付期間延長の課題は2013年から上がっていたという。政府内でも議論は進んでいるのだろうか。

「2013年から比べると実現への温度感は若干高くなっています。今後は専門家たちが議論する年金部会で、今後の見直しや過去の試算がどのように受け止められるのかを話し合っていきます。2020年段階の衆議院と参議院の委員会でも『今後検討すべきこと』として取り上げています」

 早ければ2024年に議論がまとまる、年金の納付期間延長。藤原記者は「政府は2025年の法改正を目指している」と語る。今後さらなる延長はあるのだろうか。

「まずはこの5年延長をするのかを専門家は慎重に議論していきますが、30年前と去年を比べると国民の平均寿命は男女ともに5歳ほど伸びています。今後健康的に働ける日が、伸びていけば、将来的には更なる延長もありうるのではないでしょうか」

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