旧統一教会との関わりで山際大志郎前経済再生担当大臣、死刑執行をめぐる発言で葉梨康弘前法務大臣、政治資金問題で寺田稔前総務大臣と、相次いだ大臣の辞任。その任命責任を持つ岸田総理自身も内閣支持率の下落を止めることができず“炎上状態”だが、26日のABEMA『NewsBAR橋下』では、橋下徹氏と国際政治学者の三浦瑠麗氏が“強い総理”について議論を交わした。
「このままこの低支持率が続いていくだろう」と予想する三浦氏。自身が行っているという政治家のイメージ調査をもとに、「“好きな政治家ランキング”を聞くと単なる好き嫌いになるので、たくさんの項目について何段階か評価をしてもらう。例えば、『クリーンであること』は日本の政治であまり重要な要素ではなくて、むしろ『安定感がある』『行動力』が大事だったりする。強い総理の要件を考えると、必ずしも全部1位を取ることではない。安倍さんはファンもアンチもすごく強力で、1位を取れない項目のほうが多いけれども、大事な指標で2位、3位を取ったりする。今の岸田さんは、かつての菅さんと一緒で、いまだに岸田文雄という人がどういう人かみんなわかっていない。『和を尊ぶ』で1位になるあたりは、弱い政権の特徴だ」と説明。
橋下氏は「賛否両論あるような課題について、メディアのコメンテーターが言いたい放題言っている中で、あるところでパッと決定する、（世論の波に乗る）サーフィンのやり方は、支持率を維持するために必要だと思う。ただ、（波を起こす）モーターの部分が出ない。支持率が下がってきたからと、もう1回波乗りで、外交で中国への懸念を示すとか尖閣の問題を言うだけではダメだ。実際の政策か何かで賛否が巻き起こるような、それこそ雇用市場の流動性や解雇規制の緩和などは『首切り法案だ』と反対の声が出るけど、今の日本には絶対必要だから、そういう大きなテーマで押していったらいい」との見方を示す。
一方で、三浦氏は岸田政権で評価している部分もあるという。
「行動制限をしないとか、減税をしないというのは、ポピュリズムじゃなかったりする。オミクロン株で海外からの人の流れをシャットアウトした時には本当にダメだと思ったが、意外と官僚的なエリート主義で流されずにいく時もあって、これは大したものだなと思う。一方で、統一教会の問題ではものすごく流されていったなという印象だ。岸田さん自身は、驚くほど統一教会と縁がない。わりと意識的に避けて来なければ、自民党の政治家でここまで縁がないというのはないのではないか。ただ、“俺は悪くない”という感じでいってしまっていて、ちょっとでも縁があればすぐ申告させるような茂木幹事長の決断と相まって、統一教会問題を長引かせていると思う」
これに対し、橋下氏は「旧統一教会の問題など何かをやる時、岸田さんは魂のこもった方針をもとに決めるべきだ。政権が今やっていることや、維新、野党が言っている案は世論に迎合しすぎだと思うが、“被害者を救済するために今までの法律の建前抜きで世論に迎合するんだ”と。僕は反対するけれども、初めから質問権のところをバンバンやりにいけばよかったと思う」と述べた。
また、三浦氏は、岸田総理が掲げる新しい資本主義の柱の1つ「デジタル田園都市国家構想」を引き合いに、「これはすばらしい構想だが、熱量でいうとまだ感じていない。ぜひ本気のギアを入れていただきたい」と促す。
橋下氏は「総理の立場なので、そうなってもらいたい。消費税減税の話も、補助金をどんどん入れるぐらいだったら、公平に生活必需品を減税した方がいいというのが僕の持論だが、岸田さんは補助金を入れたいのか、消費税を下げずに財源を確保したいという話なのか。どこに思想的な柱があるのか見えないのが残念だ」とした。（ABEMA／『NewsBAR橋下』より）
