愛弟子の戦いはいつでもドキドキ 谷川浩司十七世名人、都成竜馬七段の勝利に「ふー」と安堵のため息/将棋・ABEMA師弟トーナメント
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 タイトル27期獲得の永世名人であっても、愛弟子の戦いはいつまでもドキドキするものだ。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Aリーグ1回戦・第2試合、チーム谷川とチーム豊川が12月3日に放送された。結果はスコア3-1でチーム谷川が勝利した。同試合で大活躍したのは2勝を挙げたチーム谷川・都成竜馬七段(32)だが、戦いを見守った師匠・谷川浩司十七世名人は、前回大会同様にモニタを見ながらドキドキハラハラ。逆転勝利を収めた際には、思わず「ふー」と大きく安堵のため息をついた。

【映像】弟子の勝利にホッとため息をつく谷川浩司十七世名人

 結婚、さらには弟子を取るなど、責任も大きくなった都成七段。師匠・谷川十七世名人からしても、小学生時代から面倒を見てきた愛弟子が成長し、家庭を持ち、弟子を育てるまでになったことは感慨深いことだろう。ただ対局を見る気持ちは今も変わらない。ましてや最終盤に形勢が二転三転しそうなひやひやの展開であれば、心穏やかではいられないだろう。

 スコア1-1で迎えた第3局、都成七段はチーム豊川・渡辺和史五段(28)に第1局で勝利、本局で再戦となった。戦型は先手の渡辺五段が居飛車・銀冠、後手の都成七段が向飛車・穴熊。どちらもしっかり形を整えてからの真っ向勝負になった。

 互いに譲らない序盤から中盤に入ったところで、少しずつ抜け出し始めたのは都成七段。解説を務めた佐藤紳哉七段(45)も「捌け形なので振り飛車ペース」と指摘し始めると、さらに都成七段が有利、優勢へと進んでいった。ところが残り時間が少なくなるほど逆転が起きるのが、このフィッシャールール。ぎりぎりの持ち時間での指し手が続くと、渡辺五段も挽回し、佐藤七段は「逆転したと思いますよ。後手は攻めが失敗している」と解説。どちらが勝ってもおかしくない展開へともつれ込んだ。

 なんとか再び抜け出し始めた都成七段に対して、控室で見ていた谷川十七世名人は「桂馬、桂馬打つしかないか、もう。桂馬だ、桂」と、候補手を連呼。都成七段がその通りに指し勝ちにつなげると、勝利の瞬間には「ふー」と大きなため息。さらには「うん」と軽く頷いていた。

 棋士としての姿勢、生き方などを重んじる谷川十七世名人が、普段見せない様子を見せるのが今大会の魅力の一つ。弟子の戦いに一喜一憂する姿に、ファンからも多くの反響が寄せられていた。

◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】弟子の勝利にホッとため息をつく谷川浩司十七世名人
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【映像】勝利を振り返る谷川浩司十七世名人・都成竜馬七段
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