“神の手”から12年、W杯から涙で去るスアレス 因縁と数奇に振り回された悪童のサッカー人生
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【FIFA ワールドカップ カタール 2022・グループH】ガーナ0-2ウルグアイ(日本時間12月3日/アルジャノブ スタジアム)

W杯初代王者。南米の古豪・ウルグアイ。この国のエースを長年にわたり務めてきたルイス・スアレスがベンチで泣いている。思ってもみなかった韓国の試合終了間際の得点によって自分達のW杯敗退が決まったからだ。8年前のW杯では血にまみれて去ったスアレスが、今大会では涙にまみれて去ることになった。

【映像】ウルグアイ、得失点差で届かずグループステージ敗退

グループFはポルトガルとウルグアイ、そしてガーナと韓国の組み合わせ。1位通過はポルトガル、そして2位の椅子を巡ってウルグアイと韓国とガーナが競う構図となっていた。もちろん下馬評はウルグアイ。その中心根拠がルイス・スアレスの存在だ。

35歳になったとはいえ、彼の持つゴールを決める能力はまったく衰えていない。むしろゴール前での経験を積めば積むだけ、スアレスというゴールマシンはその性能をあげているかのようにも見えた。

右利きではあるが、左右関係なくどちらの足からでもゴールを生み出す。シュートエリアも広く、ペナルティー外からも低い弾道のシュートをどの体勢からも繰り出す。スアレスが他の選手と最も違うストロングポイントは、ボディバランスだろう。ボールがどの位置にあっても瞬時に自分の足をどのように動かせばジャストミートできるか?が計算できる。リヴァプールのスティーブ・ジェラードは「シュートが一番巧いと感じたのは間違いなくスアレスだ」と証言していた。

グループリーグ第3戦のガーナ戦。

22分、ヌネスのシュートがそのままゴールに流れ込んでい「たら」・・・。

88分、ゴメスのシュートがそのままネットを揺らしてい「たら」・・・。

そして、韓国が最後のカウンターでゴールを決めることさえしなけ「れば」・・・

スアレスは、グループリーグを勝ち抜き、ノックアウトステージに進めていたはずだった。

スアレスのサッカー人生にとって「たら」「れば」はつきものと言っていい。

2010年、ベスト4を懸けたガーナ戦のシュートを手で防がなければ、今までこれほど批判をされずにすんだのかもしれない(ウルグアイでは神の手と呼ばれ賞賛されているが)

2014年、イタリアのキエッリーニの肩さえ噛みつかなければ、悪童というニックネームはなかったかもしれない。

でもそれがスアレスだ。

14歳で付き合っていた彼女がヨーロッパ(バルセロナ)に引越ししたのを機に自分もヨーロッパへの移籍を決める(その彼女が今のスアレスの妻・ソフィアである)。

仲間を助けることが好きで、仲間と一緒に勝利する事を何よりも好む(メッシへのアシストはスアレスが歴代で最も多い)。

右手首に愛娘のタトゥーを入れ、ゴールのたびに、娘のために手首にキスをする。

自分の感情に素直で、自分に嘘をつけない。でも家族思いで仲間を大切にする男。

これもスアレスなのだ。

12年前、スアレスの非紳士的プレー(手でシュートを防ぐ)で決定機のシュートを弾かれ、その後のPKを外して準決勝進出の夢破れ大会から去ったガーナ。そのスアレスがベンチで泣いて大会から去る姿を見て、ガーナの選手はどんな気持ちでこの大会を去っていくのだろうか?

文:橘高唯史

ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)

スアレス、無念の涙 ウルグアイ、得失点差で届かずグループステージ敗退
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