8組の師弟で“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Aリーグ1回戦・第2試合、チーム谷川とチーム豊川が12月3日に放送された。前回大会でベスト4だった谷川浩司十七世名人(60)は、今期も唯一の弟子・都成竜馬七段(32)とタッグを組んで出場。番組冒頭では、都成七段の弟子が奨励会に入会したことを報告。谷川十七世名人は“孫弟子”の入会を「伝統が繋がっていく」と喜んでいた。
脈々とつながる棋士の系譜。都成七段は谷川十七世名人唯一の弟子として2000年9月に6級で奨励会に入会し、2016年にプロデビューを果たした。神戸市で阪神・淡路大震災を経験した谷川九段は、都成少年から弟子入りを希望する手紙を受け、誕生日が「1月17日」と大震災の日付であったことなどに縁を感じ、ただ一人の門下に迎え入れた。師弟トーナメント前に放送された師匠サミットでは、多くの弟子を持つほかの師匠に「都成君には、兄弟弟子で切磋琢磨する経験を作ってやれなかった」と話す場面もあったが、互いを唯一無二の存在とし、その絆の強さは棋界でもトップクラスだ。
そんな谷川十七世名人にも“孫弟子”ができた。予選Aリーグ1回戦・第2試合の冒頭では、都成七段が弟子を取り、6級で奨励会入りを果たしたことを報告。「自分も師匠に棋譜を見て頂いたり、いろいろなアドバイスを頂いたので、そういうものを自分の弟子に受け継いで還していけたらなと思っています」と語った。谷川十七世名人もそれに応え、「弟子を取るというのは伝統を受け継いでいくということ。私が弟子を取ったのは30代後半でしたが、都成君に限らず今の若い棋士は20代、30代で後進の育成を考えていて、頼もしく思っています」とほほ笑んだ。
都成七段は今年の1月17日に結婚を発表。今年度の勝率は8割超え、さらには子どもの誕生と、多忙な中でも充実感がみなぎる。谷川十七世名人は、「去年は身軽でしたが、今は両肩にいろいろと担うものができた。ぜひ“新しい都成竜馬”を見せてほしいなと思います」と愛弟子にエールを送っていた。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)