【FIFA ワールドカップ カタール 2022・決勝トーナメント1回戦】日本1－1（PK1－3）クロアチア（日本時間12月6日／アルジャノブ スタジアム）
涙を流す選手たちに向けて、森保一監督は大音量で流れる音楽と大歓声に負けない声で叫んだ。「みんなが新しい景色、最高の景色を目指していけば必ず歴史が変わる」。目標としていたベスト8進出まであと一歩届かず、歴史を変えることは叶わなかったが、前進を止めなければいつか必ず達成される。そう信じて疑わない思いを全力で伝えていた。
あと少し届かなかった。前半、前田大然のゴールで先制し勢いづいたが追加点が奪えず、逆に後半に追いつかれると、その後はビッグチャンスをなかなか作れず、タフなクロアチア代表との競り合いに疲弊した。延長に入り両チームとも決め手を欠くと、そのままPK戦に。南野拓実、三笘薫、吉田麻也が相手GKにがっちりと止められると、クロアチア代表には4本中3本決められて敗れた。
前後半90分、さらに延長30分の計120分とPK戦まで戦った選手たちは、膝に手をつき、その場に座り込み、大粒の涙を流す者もいた。途中交代した長友佑都や、今大会は控えだった川島永嗣らベテランは、後輩たちに「よくやった！」と声をかけ続けた。
敗戦決定から少し時間が経った後、森保監督は「小さくなって」と、いつもの試合後と同じように選手の輪を作った。ドイツ代表、スペイン代表という強豪チームを倒した時、水をかけ合って喜んだあの時間だ。「悔しい敗戦だったけど、素晴らしいだった」と健闘を称えると、続く言葉はさらなる前進だった。「次へ、次へ！これからずっと長く成長していくこと。みんなが新しい景色、最高の景色を目指していけば必ず歴史が変わる。この悔しさを胸に刻んで、みんなでやっていくということ。みんな素晴らしい戦い！」。そして最後に「我々をこうやって素晴らしい舞台につなげてくれた選手たち、サッカーファミリー、日本国民のみなさんに感謝しながら、胸を張って、また次頑張ろう！お疲れ様でした！」と感謝の言葉で締めくくった。
大会期間中、監督や選手から再三出てきた「新しい景色」という言葉。数字の上では、初のベスト8進出を指すが、試合後のインタビューで森保監督自ら語るように、グループリーグで優勝経験国であり、今大会も優勝候補に数えられたドイツ代表、スペイン代表という2チームを破るという別の景色を、今大会の日本代表はファンに向かって見せた。次回大会までの4年という時間は、長そうに思えて実に短い。森保監督がいう次への挑戦は、もう明日から始まることになる。
（ABEMA／FIFA ワールドカップ カタール 2022）
