一進一退、バチバチの攻防で飛び出した凶暴な右のカウンターアッパー。一度は立ち上がり「効いてねぇよ」と両手を広げて猛アピールをするも、足元はグラグラ…。視点も定まらず、ファイティングポーズも取れない様子を確認したレフェリーが「もう駄目」と即試合を止める衝撃のTKO劇が反響を呼んだ。
12月3日にフィリピンで開催されたONE Championship「ONE164」。ムエタイルールで行われたタギール・カリロフ(ロシア)とチョーファー・トー・センティアンノーイ(タイ)の一戦は1ラウンド後半、カリロフが強烈な右のカウンターのアッパーで相手を粉砕。さらに戦慄の追い蹴りでKOしてみせた。
現ONEムエタイフライ級王者・ロッタン・ジットムアンノンと激闘を繰り広げた両雄の対戦がONEで実現。チョーファーはロッタン戦でタイのファイト・オブ・ザ・イヤーを獲得。対戦相手のカリロフもONE参戦後にロッタンと壮絶な打ち合いを演じた。共に紙一重の判定に泣いたが、紛れもなくONEムエタイ・トップ戦線に相応しいファイターのマッチアップとなる。
試合はオープンフィンガーグローブでバチバチに殴り合う死闘となった。チョーファーが速い右、痛さが伝わるボディへのミドルなどで仕掛けると、カリロフも掴みからアッパーを連発。負けじと返すチョーファーは首相撲からヒザをねじ込んでいく。
ファーストコンタクトでは、やや分が悪いように見えたカリロフだが、再び相手を掴んで凶暴なヒジを連打。さらにヒザを叩き込んで応戦していく。一進一退の攻防にABEMA実況も「カリロフは絶対に譲らない選手」と紹介。
両者手が止まらず、1ラウンド2分が経過。すると、衝撃のクライマックスはやってくる。リング中央での攻防、カーフに仰け反ったカリロフに対して、チョーファーが追い打ちの右を振るうと、そこにカリロフの右アッパーがカウンターで炸裂。
一気に脳を揺らされたチョーファーは、前腕をぶらりとしながらグラグラと後ずさり。そのまま倒れ込んだチョーファーの顔面に、カリロフの凶暴な追い蹴りが炸裂した。
ダメージの大きさは明らかだが、チョーファーもこれでは終わらない。強烈なダメージを負いながらもすぐに立ち上がると、大きく両手を広げながら「効いてねぇよ」とアピール。しかし、明らかにその足もとはグラグラだ。視点も定まらずファイティングポーズもとれない状況を見て、レフェリーが続行不可能と判断してゴングを要求した。
見た目は強面のカリロフだが、勝利者インタビューではニコニコの陽キャラに変貌。「タイ人ともっとやらせてくれ! 蹴りなんて怖くないぜ」と威勢よく拳を振り上げアピール。さらに「勝つことが俺の人生、勝ち続けたい」とギラギラした目で語った直後に「5万ドルのファイトボーナス!」とリングアナから伝えられ「ヨッシャ〜!」とキッズのようなガッツポーズを連発した。