2022年も残りわずか。3年ぶりに迎える行動制限のない年末に、忘年会や実家への帰省を考えている人も多いかもしれない。その一方で、中には食事を無理に勧められる“飯ハラ”に怯える人もいる。ひろたつさんもそんな“飯ハラ”に悩む男性の1人だ。
【映像】「ヌーハラ」「シャンハラ」どこまで分かる? “飯ハラ”一覧(画像あり)
「『遠慮すんなよ』みたいな感じで押し付けられるが、遠慮していない。苦しんでるだけ。『残す人って本当に嫌い』『ご飯を食べきれないやつは仕事ができない』『本当に少食だね』と言われてきた。完全に少食警察だ。断りきれないから、無理して体調悪くなってでも食べ続けないといけない。回避する方法がない。善意のフリをしたいじめだ」
「牛丼チェーンの並盛1杯で1日保つ」というひろたつさん。間食も、休日で身体を動かさない日なら「リンゴ4分の1でいい。軽くおせんべい一枚ぐらいはつまむかもしれない」と話す。
年末年始、少食さんも楽しめる食事の場にするには、どうすればいいのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、飯ハラについて考えた。
■「残したくて残しているわけではない」長年“飯ハラ”に悩むひろたつさん
「妻の実家に行くと、もてなしの意味でテーブルいっぱいにご飯を並べて迎えてくれる。自分からしたら、困るぐらいの量が並んでいるので、歓迎の気持ちは分かるが、正直板挟みでつらい」と悩みを打ち明けるひろたつさん。
ひろたつさんの話を聞いた、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「普通の人として『少食です』みたいなキャラを演じようとするのが間違いだ」とコメント。
「アレルギーでエビやカニを食べられない人が『食べられません』と言わないと、どんどん勧められる。『もう無理』と言って口に入れて、その後、体調が悪くなったふりをしてトイレに10〜20分籠っていたら、それ以上たぶん誰も言わないと思う」
ひろゆき氏のアドバイスに、ひろたつさんは「その空気感に自分が耐えられるかどうか。そこまで極端になれない」と回答。「やっぱり残していると、人によっては『こいつはもう人間じゃない』くらいの言い方をされるときがある。別に残したくて残しているわけではなく、食べられないから残しちゃったという結果だ。そこは本当に分かってほしいなと思う」と訴える。
ひろゆき氏が「なぜ『食べつくさなきゃいけない』と思ってしまうのだろうか。例えば、中国では人を接待するとき、食べられない量を出すのが礼儀なので、全部食べつくす必要はない。『もう食べられません』で終わりだ」と疑問を浮かべると、フードジャーナリストの東龍氏が「批判の背景に日本特有の“もったいない”という考え方がある」と話す。
「食べ残すのは良くないことだと教育を受けてきたので、特に日本では『残します』と言いにくい。おもてなしをする方は最初に『足りないとまずい』と考える。『おかわり』もなかなか言えなかったりするので、なるべく相手に選択肢を与えたい。ただ、ゲストからすると、期待値と違うものが出てくる。このギャップがいわゆる“飯ハラ”になっているのではないか」
ジャーナリストの佐々木俊尚氏も「文化の問題だ」と指摘。「中国も日本も、量が多いと『ごちそうだ』というイメージがある」とした上で、「旅館でもいまだに公式サイトの食事のページを見ると、テーブルにドーンと料理が並ぶ写真を見せる。品数が多い方がいいと思っている。実際に行ってみると朝食に『こんなに朝飯を食べる人なんていないだろう』と思う量が出る。一方で、フードロスで『食べ残してはいけない』みたいな話もある。そのギャップで苦しんでいるのではないか」と話す。
解決策として佐々木氏は「一番いいのは少なめに出して、食べなかったら追加する。この文化をとにかく定着させるしかない」という。
「それぞれの皿だと調節できるからいいけど、大皿が出てきて『ほら食え』という人がいる。これが問題だ。年配の人が大量に作っちゃうのは、そういう文化の中で生きてきたからしょうがない。満足に食べられなかった時代の名残りだ。出されても『いや僕は、自分の体重と健康を自分で管理したい信念があるので』と、当たり前に言える文化に変わっていってほしい」
フードロスの観点ではどうか。家庭から廃棄される食べ物の量をみると、1位は中国、日本は14位だった。しかし、1人あたりの年間廃棄量で見ると日本は64kgで、1位の中国と同等となっている。
東龍氏は「食事をなるべく無駄にしないために、2021年4月に中国で『反食品浪費法』ができた。日本でも、2013年に統計を取り始めてから、最新データの2020年では一番少なくなっている。2019年に『食品ロス削減推進法』もできた。意識は高まっている」と説明する。
コロナ禍でテイクアウトも進み、外食でも環境省が「mottECO(モッテコ)」という形で、食べ残しを持ち帰りできる取り組みを始めている。ファミリーレストラン「デニーズ」でも今月から採用され、注目が集まっている。その一方で、東龍氏は「持ち帰りはオペレーション、容器にもコストがかかる」と指摘。
「日本の飲食店は8割が個人事業主だ。衛生水準もすごく高い。やはり持ち帰りは、お客様の責任といっても、万が一食中毒があったらお店が潰れてしまう。リスクを冒してまで、テイクアウトをやるか。自分の知らないところでどうやって食べられているか分からない。事業系のゴミはちょっとお金がかかるが、それと天秤にかけて、なかなかやりにくいだろうと思う」
(「ABEMA Prime」より)
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