2019年、働き方改革関連法による残業の上限規制が始まった。また、新型コロナの流行によってリモートワークが進み、ここ数年で残業時間は減少傾向になっている。
【映像】ひろゆき氏「若い優秀な人はマジ残業が得」(トークの様子)
そんな中、人事ジャーナリストの溝上憲文さんによると「会社側は多様な価値観においてみんな自由に働けると言うが、実際は残業がないことで苦しんでいる人たちもたくさんいる」という。
実際に残業規制の弊害について、広告業のSHUNさん(20代・仮名)はこう話す。
「会社の勤務時間は9時から18時だが、帰ってきて家で残りの作業を行っています。会社としては労働基準法を守らないといけない。でも、時間内には確実に終わらない」
残業してはいけない。でも仕事は終わらない。結局、サービス残業でカバーするしかないという。
また、コンサル業で働く木村さん(24歳)は「もっと残業したい派です」と話す。
「シンプルに成長したいから。今のうちに仕事しておかないとどんどん周りから取り残されるんじゃないか。残業や仕事を多くやりたい。上の人たちはそうやって成長してきた部分があると思う。自分もそれに習って、がむしゃらに働いて成長したい。特に今の年齢ではそうでありたい」
ホワイトすぎる働き方に、逆にもどかしさを感じている木村さん。もちろん無理強いはダメだが、残業規制が一部の働き手のやる気を奪っているのかもしれない。
実際に、残業ゼロを謳う会社側はどのように考えているのだろうか。2012年から残業ゼロを断行中の株式会社アクシア代表の米村歩さんは「残業自体が悪いとは全く思っていない」と話す。
「うちの会社はこういうやり方をしているだけだ。自分自身も経営者で労働者ではないので、自由な働き方をしている。日本全国の会社がうちみたいな会社になったら息苦しいと思う」
米村さんの会社では、時間になると、仕事をするためのシステムやデータにアクセスできなくなるため、残業は一切できない。「2011年の東日本大震災の時に出勤できなくて、リモートワークを始めた。オフィスをなくしたのは2020年の新型コロナ流行がきっかけだ」という。
「最初は業務を効率化して残業をなくそうとしたが、なくせなかった。代表として『明日から一切残業をやらない』と決めて、そのルールに従ってやったら、意外となくせた。残業からなくなっていったというより、次の日からなくした」
急に仕事が入ってきて“明日までに”と言われたらどうするのか。
「残業をやらないと決めたので、それに合わせて仕事も受注したり、スケジュールを組んだりする。仕事の組み方がまるっきり変わった。イレギュラーケースでできないことができたら、そのときはお客さんに頭を下げる。お客さんと契約する時も一応会社のスタンスを説明して、共感してくれるお客さんと契約している。見積もりも16年くらい会社をやってきて、基準に従って見積もりをやっている。想定外のことが起きたときに対処できないとなると、すぐ残業となってしまうので、必ず余裕を持って見積もりしている」
離職率も圧倒的に低下したという。
「人が次から次に辞めていたが、今はめったに辞めなくなった。イケイケのベンチャー企業と比べると、成長スピードでは全然かなわないところもあると思う。ただ、必ずしも働く時間=成長スピードとは限らない。特にエンジニアは開発好きな人も多く、プライベートでもいろいろな開発をやっている。成長もそういったところでできる」
「残業=悪」の風潮こそが悪だという、Webコンサルティングを行う株式会社ProLogue代表の小林真之さんは、今の話を聞いてどう感じたのか。
「風潮として、最近は『定時になったらみんな帰りましょうね』みたいな、幼稚園生みたいなことをする。『は? それ要ります?』が僕の意見だ。残業は基本的に2つのタイプしかない。いい残業と悪い残業だ。個人が納得しているか、納得してないかだ。個人が納得している残業はいい残業だ。『もう20歳超えてる成人だから、残業は自分の判断でやればよくない?』というのが僕の意見だ」
Twitterで自社の求人募集を行ったとき「ハードワーカー求む」と書いた小林さん。約30名から応募がきたという。
「面談してみると、今の環境が成長しづらいと言っていた。『もっとやりたいけど帰ってくれ』と言われちゃうので、もっとゴリゴリやれるところに行きたいと。こういう問題はけっこうあると思う」
ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏が「やる気の人だけ集めた会社をやれいいのではないか」と投げかけると、小林さんは「そういうのも今は淘汰される。SNSで取り上げられて『この会社、超ブラックじゃん』とつつかれてしまう。そこはちゃんとフラットに見てほしい」とコメント。
「仕事にもよると思うが、現実として1年かかるものを2倍の量をやって半年でできる方が、結果的に日本の経済が良くなると僕はおもっている。今はそれが悪だという風潮や空気感がある。この空気感を肯定すると、未来の日本経済は不安だ。やる気がない人に全員の空気感を合わせてしまうと、やる気がある人もちょっとやりづらい空気感になっちゃうことが損失だ」
賛否両論ある残業に対する考え方。それぞれの会社・個人の希望に合った働き方ができるような社会になることを願いたい。
(「ABEMA Prime」より)
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