議員のなり手が不足している自治体が、全国各地に存在している。長野県下伊那郡喬木村(たかぎむら)は、人口約5700人(2022年8月時点)。村の高齢化率は約35%となっている。
喬木村議会は、2017年の村議選で初の無投票となった。2021年の選挙では定数12に対して、立候補は10人。2人分の欠員を埋めるための再選挙が行われたが、1人しか立候補しなかった。村議3期目で、村議会議長を務める後藤章人氏(70)は、「12人の時のことを知っていると、1人いないだけで『人がいない』って感じがする」と話す。
喬木村では、有職者でも無職でも、若者でも関係なく、立候補できる環境をつくるため、夜間や休日に議会を開くようにした。報酬も月額14万3000円から15万円に増額していたが、定数割れとなってしまい、後藤氏は「我々は何をしてきたんだろうか…ショック」と嘆く。
料理の仕出店と議員の「二足のわらじ」を履いている後藤氏。周囲も農家や酒店、企業勤務など、もともとの仕事の延長として、議員をしている。去年辞職するまで、3期12年間にわたり村議を務めた昼神二三男氏(78)は、いま農業をしている。
「日常のパソコン操作はできるにしても、若い人と比較すると遅い。議会の運営にも迷惑がかかるのも(辞職の)ひとつの理由。一村民としてご協力しますけど、(議員への復帰は)ご勘弁願いたい」(昼神氏)
後藤氏はなり手探しに尽力するが、断られてばかりだという。仕事の魅力を伝えられなかったのが原因とみているが、具体的な解決策はまだ見つかっていない。「定数割れになった瞬間から、なんなんだろうなと、ずっと思っている」(後藤氏)。
そんななか、「村の宝」として期待されているのが、工事が進められているリニア中央新幹線だ。村内に線路が通り、村から車で約5分のところに駅も設置される予定だという。開通すれば、東京から約50分、名古屋から約30分。後藤氏は、観光客や通勤客、そして移住によって、村の人口が動くことを期待している。
これが「最大のチャンス」だと、喬木村は動き出した。県内屈指の産地というイチゴをつかったロールケーキやジャムをつくり、村を盛り上げることで、人々を呼び込もうと模索している。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側