ベテラン棋士が、まさかの頓死に頭を抱えた。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Bリーグ1回戦第1試合、チーム深浦VSチーム中田が12月31日に放送された。開幕戦は、深浦康市九段(50)と中田功八段(55)による師匠戦に。中田八段が得意の三間飛車で勝利を目前まで引き寄せたが、最後の最後でまさかの頓死。「やっちまったよー」と悔し気な声を上げた。
第1局を担った中田八段は、「私のやることは決まっている」と得意戦法の三間飛車を採用。深浦九段は穴熊に組んで備えた。中盤からは中田八段の会心の捌きが決まり、勝利を目前まで引き寄せたかと思われたが、最終盤で深浦九段が粘りを見せて△5七金で王手。同金と取れば詰まなかったが、対応を誤り逃げる一手を選択したことから大逆転。勝利まであと一歩での頓死に、「いやー!」と声を上げ頭を抱えた。
中田八段は、「負けました!」と110手で投了。膝を抱えて頭を垂れると、しばらく動けず言葉を発することもできなかった。本局の解説で、自身もABEMAトーナメント出場経験を持つ松尾歩八段(42)は「フィッシャーならではの怖さが出た」と超早指し戦特有の感覚についてコメント。貴重な先勝を掴み損ねた中田八段は、「勝ったと思ったのが敗因。最後まで気を抜いたらいかんかったです」と深いため息。「久々に『良い将棋をやっているな』と自分で嬉しくなっちゃって。いかんですね。次頑張るしかないけど、この将棋は勝ちたかった…」とがっくりと肩を落とした。
弟子の佐藤天彦九段(34)の待つ控室に戻ると、「やっちまったよー」と悔しすぎる敗戦を報告。あまりに劇的な終戦にファンも大興奮、「うわあああ」「こわっ」「コーヤン残念ー」「もったいない」「ほぼ勝ちだったよね」「勝つのって大変だね」「ん~残念」と多数のコメントが寄せられていた。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)