将棋ファンたちの心配は杞憂だった 羽生善治九段“衰え説”を吹き飛ばすタイトル挑戦 伊藤かりんも「年齢は関係なかった。さすがすぎます」
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 将棋界のスーパーレジェンドが約2年ぶりタイトル戦の舞台に帰ってきた。1月8日から開幕するALSOK杯王将戦七番勝負で、藤井聡太王将(竜王、王位、叡王、棋聖、20)に挑戦するのが、七冠独占・永世七冠・タイトル通算99期など輝かしい実績を持つ羽生善治九段(52)だ。2021年度はデビュー以来、初めて勝率が5割を切り、順位戦でもA級からB級1組に降級。ファン、関係者の間で“衰え説”が囁かれた中、2022年度は王将リーグで全勝し挑戦権を獲得するなど、完全復活を印象付けた。将棋親善大使を務める元乃木坂46のメンバー伊藤かりんも「単に不調の年があっただけで、年齢などではなかった。さすがすぎます」と脱帽。50代に入ってもなお進化を続けるレジェンドへの思いが溢れた。

【中継】第72期ALSOK杯王将戦七番勝負 第一局1日目 藤井聡太王将 対 羽生善治九段

 数々の大記録を作ってきたレジェンドも限界か…。そんな声が多かった2021年度から一転、2022年度の羽生九段が見せた久々の強さにファンの心も踊った。一時は年度勝率が7割を超え、現在も6割以上をキープ。このまま6割超えを果たせば、2015年度以来の好成績だ。

 伊藤 羽生先生にはいつまでも強くトップでいてほしいという「将棋ファンの押し付け」もあったような気がします。それでもやはり年齢もあるので(成績が下がるのも)どうしようもないのかなと心の中で思っていました。でもいざ今、この強さを見るとただ単にたまにある不調の年だっただけで成績不振は年齢とかではなかった、さすがすぎると驚いています。王将リーグもぎりぎりで挑戦権を勝ち取ったわけではなく、全勝という好成績を残されているのは信じられないですし、いつまでもトップだなあと思います。羽生先生は普及の面でも活動されていて、多忙なはずなのに切り替えて将棋に向き合っていらっしゃることがすごくかっこいいです。

 順位戦A級に50代の棋士は佐藤康光九段(53)の1人だけ。羽生九段がいるB級1組を見ても、いわゆる「羽生世代」のベテランたちの苦戦が目立つ。確実に世代交代の流れが進み、その象徴として20歳の藤井王将という存在がいるが、この若き王者に復活したレジェンドが挑むというのが、また熱い。

 伊藤 羽生九段が無冠になってしまった時に、なんとお呼びするかという話題もありましたが、もしかしたらまたタイトルの肩書でお呼びできるかと思うとわくわくします。

 今や将棋ソフト(AI)を活用した研究は若手、ベテランを問わず当たり前のようになりつつある。ソフトによる研究を進めた上で、そこから人間としてどこまで個性を出せるか。今まで自分が作り、積み上げてきたものを壊してから前に進むという茨の道を、羽生九段は逃げずに歩み続けたからこそ、2年ぶりのタイトル戦にたどり着いた。

 伊藤 どうしても自分が積み重ねてきたものはそのまま積み重ねていきたいし、そんなに柔軟に考えられないと思います。しかし羽生九段は、AIが人間を勝る時代が来ることを予言もされていましたし50代の棋士がAIで将棋の研究ができること自体もすごいです。

 羽生九段と藤井王将の対戦は過去に8局あり、藤井王将が7勝1敗と大きくリード。羽生九段が勝ったのは2020年2月の王位戦挑戦者決定リーグ戦まで遡る。苦労の日々を乗り越えて、また強くなった羽生九段が、若き王者とどんな対局を作り上げるのか。もしタイトル奪取ともなれば“衰え説”どころか、今こそが“全盛期説”に塗り替えられる。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【中継】第72期ALSOK杯王将戦七番勝負 第一局1日目 藤井聡太王将 対 羽生善治九段
【中継】第72期ALSOK杯王将戦七番勝負 第一局1日目 藤井聡太王将 対 羽生善治九段
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