為替相場や企業の賃上げが注目される中、日々の生活に精一杯で、それどころではないという人も大勢いる。“生活困窮者”の現状を取材した。
大晦日、池袋の公園には長蛇の列ができていた。並んだ人々の目的は、NPO法人「TENOHASI」による食料の配布。この日は、果物やお茶などのほか、すき焼き弁当も用意された。
厳しい寒さの中、この食料を手にするため並んだ人の数は419人。月に2度、定期的に配食を行ってきたTENOHASIの清野賢司事務局長は、訪れる人の多さに危機感を募らせる。
「2021年の大晦日が280人くらいだったので、単純に比べると1.5倍。私たちの炊き出しは大体毎年200人くらい。リーマンショックのときは1.5倍の330人でこれがすごい人数だと思ったが、コロナで2020年が230人くらい、21年がほぼ400人、今年が500人と想像したことのないような伸び方を示している」
世間では3年ぶりに行動制限のない年末年始を迎えたが、食料配布に並ぶ人の数は増加傾向が続いているという。食料配布に並んだ生活保護受給者はこう話す。
「食べるのが厳しい私らは助かっている。若いころはバリバリ働いて税金も納めた。こういう風になったが、使ってくれるところがあれば働きたい。こんな生活なんかしたくない。体を壊して仕事できなくなった場合、どうしても生活保護にお世話になる」
その日食べるものに困っている人だけでなく、少しでも生活の助けになればという思いで訪れる人など、並ぶ理由はそれぞれ。清野氏は、「長引くコロナ禍で、並ぶ人の年代や性別に変化が出てきている」と見解を示す。
「女性と若者が増えた。今日も『遠いところから初めてきました』という女性が2人来た。話を聞くと、家や仕事もあったり、年金もあったりするけども、仕事がある方はまだコロナ前の水準まで所得が戻っていない。年金受給者の方などは『物価高で先行き不安でどうにか節約しなきゃ』と。わざわざ大晦日に寒い中地図を見てここまでたどり着いた方が沢山いる。これが今の日本の現状」
「(2023年は)わざわざこんなところまでご飯を取りに来る必要がない人が増えてきてほしい。そして、この状況が政治にきちんと届くことだ。今日も何人か政治家の方が来られたが、もっと来てほしいし、岸田総理にもぜひ来てほしい。そして、ここからどういう国を作ったらいいか、その考え方を組み立ててほしい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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