8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Bリーグ1位決定戦、チーム深浦とチーム木村が1月7日に放送された。勝者は予選突破が決まる大一番。「本戦入りをかけたこの勝負では、私が引っ張れるように頑張りたいです」と語ったチーム深浦の佐々木大地七段(27)が2勝を飾り、深浦康市九段(50)が1勝と師弟で力を合わせて3-1でチーム木村に勝利。強豪揃いのBリーグで堂々1位通過を決めた。
予選1回戦では個人で1勝2敗と力が出し切れなかった佐々木七段は、「1回戦は師匠に助けてもらったので、本戦入りをかけたこの勝負では私が引っ張れるように頑張りたいです」と自らを鼓舞するように決意を口にした。隣で聞いていた深浦九段は「おお~言ったねえ!聞きました!?」。それでも、弟子の頼もしい言葉に顔に笑顔が浮かんでいた。
開幕戦は佐々木七段とチーム木村・高野智史六段(29)による弟子対決に。佐々木七段得意の相掛かりから持将棋模様に展開するも、大熱戦を1点差で制した。続く第2局は深浦九段と木村一基九段(49)による師匠対決に。タイトル戦でも激突した経験を持つトップ棋士同士の濃厚な角換わり戦となった。中盤で抜け出した木村九段が119手で勝利。1-1のイーブンへともつれ込んだ。
続く第3局は、勝てば予選突破に王手がかかる勝負のポイント。両軍ともに再び師匠が立ち上がり、バチバチと火花を散らすようなライバル対決が繰り広げられた。深浦九段の攻め、木村九段の受け、と両者が持ち味を存分に発揮。深浦九段は、やや厳しい局面では「暴発気味だと反省した。君の顔が浮かんだ」と弟子の顔を思い浮かべ、▲4八銀から逆転に成功。143手でチーム深浦が2勝目を挙げた。
あと1勝で勝利が決まる第4局は佐々木七段が登板。「師弟で挙げた2勝を活かして、予選突破を決める一番をしっかり戦いたい」と対局場へと向かった。対するは第1局と同じ高野六段。後がないチーム木村とあり、高野六段は角換わりの将棋に序盤から工夫を見せていった。後手の佐々木七段は、冷静さを失わず落ち着いた指し回しでポイントを積み上げると、△3一玉から決めきり大きな勝利を手にした。
「私が引っ張る」という言葉通り2戦2勝を挙げた佐々木七段に対し、師匠の深浦九段は「大地が強敵相手によく頑張ってくれた!」と満面の笑顔。有限実行を遂げた佐々木七段は「その一言をとらえられて師匠にプレッシャーをかけられるとは思っていませんでした(笑)。師弟でつかみ取った勝利だと思います」とホッとした表情を見せた。「うちのチームは、師弟が車の両輪」と語った通り、二人三脚で本戦へ。ますます厳しい戦いが予想される本戦トーナメントでも、2人がそろえば楽しい“旅路”となるに違いない。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)