うちの師匠は最強だ!そんな弟子の表情に、ファンも大興奮だった。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Bリーグ1位決定戦、チーム深浦とチーム木村が1月7日に放送された。チーム深浦の1勝で迎えた第2局は、深浦康市九段(50)VS木村一基九段(49)による師匠対決となった。超濃厚な大激戦とあり、木村門下の高野智史六段(29)の視線はモニターにくぎ付け。「うおうおうおー!」と声を上げ、師匠の勝利を喜んだ。
深浦九段VS木村九段。2009年度の王位戦七番勝負でフルセットの激闘を演じたトップ棋士が、第2局で師匠戦を繰り広げた。チーム深浦の先勝とあり、勝てば予選突破に王手がかかる。チーム木村にとっても、イーブンに持ち込むか、カド番に追い込まれるかの勝負所を迎えていた。
木村九段の先手で「角換わり」の出だしに。早繰り銀に構えた先手は深浦九段の飛車に狙いを定めてペースを掴むと、じわじわとリードを広げた。深浦九段も端攻めから抜群のバランス感覚を見せるも、最後は木村九段が角を起点に攻めをつなげて119手で勝利。師匠の圧巻の指し回しに、普段は物静かな高野六段が「うおうおうおー!」と歓喜の声を上げた。この様子にファンも大興奮。「楽しそうw」「うわーすげー」「タラちゃんいいなw」「楽しんでおりますな」「高野さんかわいいw」「おじおじ強い!」「いやー強い」「いい将棋だった」「濃いなあ~」とコメントが殺到していた。
そんな高野六段が握りしめていたのは「孜々不倦(ししふけん)九段 木村一基」と師匠の揮毫入り扇子。途中で投げ出すことなく努力をし続けることを意味し、木村九段が胸に刻むように記した四文字熟語の思いは、確実に弟子の高野六段へと受け継がれている。勝利を飾った木村九段は「久しぶりに感触がつかめた。あまり状況は変わりませんが、また振り出しになりましたので気を引き締めて頑張りたい」と冷静。しかし、控室に戻り拍手して喜ぶ高野六段の顔を見ると、わずかに頬を緩めていた。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)