森に木を植え育てる植林や育林といった業界は近年、なり手不足が指摘されている。こうした中、若い人材を呼び込み、森に新たな価値を生み出そうと活動する企業があった。
森林で木を切り、草を刈る作業員。これは苗木を植え、育てる「植林・育林」のための作業の一環で、彼らは森に木を植え育てる専門集団だ。
「私たちは林業の会社。その中でも植林・育林に特化して事業展開している」
そう話すのは、GREEN FORESTERS(グリーンフォレスターズ)の代表を務める中井照大郎さん。この会社が展開する植林・育林事業「青葉組」は、群馬・栃木・茨城・新潟を拠点に活動している。
以前は商社で、エネルギーに関わる仕事をしていた中井さん。「資源に関わる事業を始めたい」と模索していた時に耳にしたのが、日本の林業が直面しているある“課題”だった。
「伐採の方は、土木とか建設業に近いところがある。男の子が好きそうな大きな重機を使って木を切ったり、仕事の形がここ10〜20年くらいで大きく変わっている。一方で植林や育林とか、木を植える方は機械化がなかなか難しくて、生身の人間が木を一本一本植えていく形。バンバン切られて植えられていない状況で、森林の循環が著しく滞っている」
伐採などを行う人に比べ、育林に従事する人の数は2000年から2015年のたった15年で半数まで減少。伐採されたまま放置された森では、次の木が育たず荒れてゆき、土砂災害のリスクなどにもつながることが指摘されている。
こうした課題を解決するため、中井さんは2020年に会社を設立。林業に若い人材を呼び込むため、柔軟に働ける仕組みを導入した。
「“3日働いて1日休む”というスケジュールで稼働している。週末や祝日も特に関係なく働いているというのが現状。ただ、うちは併せて“日給制”という形を導入していて、例えば2連休作ったり3連休作ったり。周りに気兼ねなく休むことができる」
自由な働き方に加え、一定以上の本数を植林したらインセンティブという制度も。こうした働き方に惹かれ、徐々にこの会社の門を叩く若者の姿もあるという。
「40〜50代ぐらいの世代の方に教えを請うたりとか、そういった形で昔の技術とか継承はうまくやったりしている」
そして今後、中井さんが目指していきたいと話すのが、植林した森林に、新たな価値を付け加えるということ。
「ただ単に木を植えるだけではなくて、ここに成果物としてどういう森ができるか。例えば『蜂蜜が取れる森になるよ』とか『カブトムシが寄ってきてカブトムシが捕れる森になるよ』とか。最終的な成果物である森という状態にしたところまでコミットできるところを会社の売りにしていきたい」
また、2022年にはさまざまな事情で管理が行き届かない森林を買取り、再生へと導く「不採算森林の買取サービス」もスタート。不採算の森林を蘇らせ、数十年後の“未来の資源”に――。今後、より多くの土地で活動を行いたいと中井さんは話す。
「森林というのは一つの切り口だと思っていて、ゆくゆくは身の回りにある資源をガンガン使い倒していく。それも使い倒すだけでなく循環というか、次につながるような使い方をしていくことがマストの世界になってきていると思うので、それを加速させる一役を買えたら嬉しい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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