激化する中学受験、子どもの努力ではどうにもできない“お金の問題”も 成田悠輔氏「勇気を持って“やりすぎない”ことが大事」
【映像】中学受験 子どもの努力だけではどうにもできない“問題”
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 本格的な中学受験シーズンの到来。かつて無いほど激化する競争の中、志望校合格を目指して息子とともに奮闘する父親の本音を聞いた。

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「私自身が中学校受験の経験者で『やってよかったな』と思っていた。長男はすごく勉強好きだったので、小学校3年生のときに『こういう道があるよ。やってみないか』と誘って、『じゃあやってみる』『塾行ってみる』と始めたのがきっかけ」

 中学受験を来年に控える長男を持つ江口さん。自身も中学受験を経て東大を卒業したという経験を踏まえ、息子とともに志望校への合格を目指している。

 岸田総理が「異次元の少子化対策に挑戦する」と年頭の会見で掲げるほど少子化が深刻化する中、実は過熱している中学受験。首都圏模試センターの発表によると、首都圏私立・国立中学の受験者総数は2022年で過去最多に。8年連続で増加し、今年も受験者数が増加する可能性があるとみられている。

 その理由について、中学受験専門塾「スタジオキャンパス」の矢野耕平代表に話を聞いた。

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「中学受験の熱が高い都心部の児童数は、まだまだ増えつつあるというのが一つ。また、コロナ禍による緊急事態宣言下のときに、公立中高よりも私立中高の方がオンライン対応などで優れていた。そこから『私立・私学教育』が見直された面がある。今、小学校4年生の子どもたちが中学受験をするときにピークを迎えると言われているので、少なくともあと2年は激戦が続くのではないか」

 高校受験がない中高一貫の学校も多く、6年間という長い期間を一緒に過ごす仲間に出会えるなど、中学受験にはいくつものメリットがあるが、そこにたどり着くためには、“子どもの努力”だけではどうすることもできない問題もあるようだ。

「中学受験で通う塾代は、小学6年生の1年間で、大手だと100~150万円ぐらいかかる。そこでサポートするために個別塾を付けたり、家庭教師を付けたりすると、年間で200~250万円かかってくる」(矢野代表)

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 自宅学習だけでの難関中学合格は「厳しい世界だ」と話す矢野代表。実際、江口さんの家庭も、6年生からの塾代は月に7万円で、そこに家庭教師や夏期講習の費用も重なってくる予定だという。さらに、江口さんは学校と塾の両立にも課題を感じていると話す。

「土曜に授業があるのがきつい、あれをなんとかしてほしい。土曜の朝に学校に行き、昼に帰ってそのまま塾に行って勉強する。夏休みの宿題も、めちゃくちゃ(塾の)講習が入っているので『それ以上勉強する必要ありますか?』みたいな。塾に行っていない子が夏休みに勉強しなくなることはあると思うが、こっちはもう片方(塾)で死ぬほどやっているので、親としてはそれで代替してくれないかという切なる願望がある」

 受験に必要な内容を学校にいる時間にできれば、夜遅くまで勉強する必要がなくなるのに……と頭を抱える江口さん。学校で学ぶ内容自体にも疑問を感じているという。

「理解や社会は本当に細かくて、こんなこと小学生の段階でやる必要ないといつも思っている。それなら国際競争力がつく教育、理科と社会の代わりに『英語』と『プログラミング』をやらせればいいのにと。科目や中身のアップデートが全然進んでいない」

 江口さんが子どもにとって最適だと思う教育環境を実現するため、受験に向けたラストスパートが始まっている。

「(受験まで)あと1年になる2月に入った段階で、改めて『試験は勝負事なので勝つことも負けることもある』と伝えようと思う。ただ、その過程で本気で頑張ったかどうかということに意味がある。タイムマシンに乗って1年前の今日に戻ってきても、『同じくらい頑張った』と思えるくらいやってほしい。すごくハードルは高いと思うが父としてはそう思う」

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 『ABEMAヒルズ』に出演したイェール大学助教授の成田悠輔氏は、江口さんの長男がこなしている過酷な勉強スケジュールについて、「勇気を持って“やりすぎないこと”が大事なのではないか」との考えを述べた。

「勉強が好きな人、得意な人はいいと思うが、苦手な人が同じことをやるのは、後から考えたときに『何の意味があったのだろう』となる可能性が高いのではないか。良い学校に入っていたほうが楽だとは思うが、犠牲も大きい。受験に関しては、皆が頑張り始めると全員が苦しくなる側面がある。

 中学受験に関しても、大学受験に関しても、“神童”“全国模試1位”という人を多く知っているが、その人たちが30代になってどんな人生を送っているかというと、すごく普通だ。どちらかというと受験勉強や入試に過剰に適応してしまっていて、他のことをやるときに上手く路線チェンジができない人が多い。勇気を持ってやりすぎないことが大事なのではないか。やりすぎないと落ちるかもしれないが、『まだ本気出してないんで』と言い訳ができるぐらいでいいと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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