正月太りや“急に太る”ことはない?問題は生活習慣… 肥満に関する専門家がアドバイス
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 おもちにおせち……。ご馳走が並ぶ正月でついつい食べ過ぎて“正月太り”をしてしまった人も多いのではないだろうか。

【映像】肥満を防ぐには?専門家がアドバイス

 急激な体重の増加は、時として深刻な病気につながる恐れも……。食べ過ぎによる肥満はどうすれば防げるのか。番組は肥満に関する研究を行う、セント・ジョーンズ大学薬学部の樋口聖教授を取材。アメリカでは肥満治療の選択肢のひとつとして、薬による食欲の抑制があるという。

「一つは頭に働きかけて食欲を抑える薬。そして、食べたあとの脂肪の吸収を抑えて、吸収しにくくして太らなくする薬。最後はインクレチン製剤と言われているもので、腸管のホルモンに似た薬を打つことによって食欲を抑制したりする薬で今主流だ」

 2022年11月、厚生労働省の専門家部会は「オルリスタット」として知られる大正製薬の脂質吸収抑制薬「アライ」(一般名=オリスタット)を要指導医薬品として承認することを了承した。3月末にも正式承認される見通しで、日本でも医師の処方箋なしに薬局で買えるようになる。

「オルリスタットは比較的副作用の少ない薬と言われているが、脂肪を吸収しないことによって、脂肪便という糞便中に脂肪が多くなってしまう。そして、便失禁といって知らない間に漏れてしまっているという症状もあると思うので、その辺は注意が必要とは言われている」

ニシキヘビ
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 また、現在、樋口教授が研究を進めているのが、ニシキヘビの能力を応用した薬の開発。

「ニシキヘビというのは一回ご飯を食べると、数カ月ご飯を食べなくても良かったり、時には一年ご飯を食べないことがある。色々調べてみると、蛇には特殊な能力があって、“満腹を調節する物質”というのが知られている。それが異常に分泌するということがわかってきた」

 将来的にはこのメカニズムを解明し、人間にも応用できるようにしていきたいと期待をのぞかせる樋口教授。

「肥満になる一つの原因として、間食というのがある思う。食欲を調節することができれば、間食を抑えたり、ダイエットしたいと思って食べたくなった時にでも我慢ができる、助けできる薬ができたらいいなと」

 そしていま、正月太りで悩む人へ樋口教授はこう話す。

「人の体も一定に保つようにする仕組みは備わっているので、急に太ったとしても体は徐々に戻ってくる。肥満や極端に痩せすぎるとかは、生活習慣とかの積み重ねで起きてしまっていることなので、正月太りとか急なものでどうこうという話ではない。運動と食生活、規則正しい食事をとるとか、少し食べる順番を工夫するとかが必要」

佐伯恵太
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 今後、処方箋なしに薬局で購入できるオルリスタット。誰でも買えることから注意すべき点はないのだろうか。番組に出演したサイエンスコミュニケーターの佐伯恵太氏に話を聞いた。

「世の中的には、薬局に行けば一瞬にして手に入るので楽だと思うが、一方で医者に診てもらうとか、処方箋をもらうといったステップはカットしているので、そこは自分の知識で補う必要がある。肥満を予防するにはそれぞれの薬で違っていて、脂肪の吸収を抑える薬とそういうものを一緒くたにせずに理解すること。例えば、脂肪を吸収を抑えるけど糖分は普通に吸収されるなど、各自の知識として身につけていくことが大事」

 薬に頼るだけでなく、やはり運動といった生活習慣の見直しも大事なのだろうか。

「基本的には食事と運動に落ち着くが、運動となるとハードルが高くなる。例えばスクワット20回3セットとなると大変だと思うが、椅子に座る際に3回座り直すなどをすることでスクワットしたことになる。このように何もしないより少しの運動した方が効果があると、科学的に議論した上で証明されているので、手軽な運動から始めてみるといい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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