将棋の囲碁将棋チャンネル 第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第2局が1月21・22日の両日、大阪府高槻市の「摂津峡花の里温泉 山水館」で行われ、挑戦者の羽生善治九段が藤井聡太王将(竜王、王位、叡王、棋聖、20)に101手で勝利し、1勝1敗のタイとした。将棋界のスーパースター同士が激突する大注目のシリーズ。次戦、第3局は1月28・29日、石川県金沢市の「金沢東急ホテル」で指される。
若き絶対王者とタイトル獲得数99期のレジェンドがタイトル戦で初対戦している“世紀の一戦”。1月8・9日に行われた開幕局は、初防衛を目指す藤井王将が先勝を飾った。リードを広げられるわけにはいかない羽生九段は、先手番の本局で「相掛かり」を志向。「途中までは前例のある形で進んでいましたが、未知の将棋になってからこちらがどういう風に手を作っていくかと思って指していました」。出だしからがアグレッシブな姿勢を見せた羽生九段に対し、藤井王将が受ける展開となった。
羽生九段は深い事前研究を伺わせるように、駒損しながらも異筋に金を打ち付ける強気な一着を披露。「ゆっくりしていると攻めが切れてしまうので、筋の悪い手だがしょうがないかなと思って」と話したが、難解な中盤戦でペース掌握に成功した。
藤井王将は、先手の構想をじっと探るように長考を重ね、持ち駒を増やして反撃のチャンスを狙う。劣勢に追い込まれた終盤では銀打ちから勝負に出て、大駒で先手玉を包囲するも逆転には至らず。最後まで冷静に指しきった羽生九段が大激戦を制し、1勝目を飾った。
藤井王将の猛攻を耐えきった羽生九段は、「ちょっと受け間違えると負けそうな局面。かなり慎重に考えて指していて、どの変化もギリギリだと思っていました。最後も怖かったので、何かあったらしょうがないと思っていたので、詰まなくてよかったなという感じです」。待望の勝利を手にし、「ひとつ結果が出て良かったなというところです。内容的な物もずっと伴っていなかったので、ちょっとホッとしています」と頬を緩めた。
次戦、石川県金沢市で行われる第3局はわずか1週間後。連勝に向け、「良い将棋が指せるように、自分なりにしっかり調整して臨みたいと思います」と羽生九段。互いに先手番で1勝を飾っており、次戦で先手番を持つ藤井王将が2勝目を手にするか、羽生九段が後手番での秘策をぶつけるか、期待は高まるばかりだ。混戦が予想されるシリーズのゆくえから目が離せない。
(写真提供:日本将棋連盟)