カーフ地獄で足元からぐにゃりと崩れ落ちるダウン。意識が足元に集中したところで、左ストレートをズドン。計4度のダウンを奪った衝撃KO劇。圧倒的な勝利を収めた勝者に加え、惜しくも敗れたが「心が折れてない」と敗者の健闘ぶりにも称賛の声が集まった。
1月21日に後楽園ホールで開催された「Krush.145」で東本央貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と稲垣柊(K-1ジム大宮チームレオン)が対戦。試合はカーフキックを軸に計4度のダウンを奪った稲垣が3ラウンド、左ストレートを打ち抜いて東本に見事なKO勝利。第9代krushスーパー・ライト級王座決定トーナメントの準決勝に駒を進めた。
トーナメント一回戦は強打とテクニック、対照的な特徴を持つ2人の対決となった。プロ10年目の東本は昨年11月に21年春から続いた3連敗から脱出。一方、高い技術が売りの稲垣は現在6連勝で、3年間負けなしと直近の戦歴、勢いでは稲垣が優勢といえる。
サウスポー同士の対戦は1ラウンド、序盤は右ジャブ、カーフの蹴り合いでスタート。ラウンド終了間際には稲垣が相手のボディに合わせ右フックを当てる技ありのダウンで先制する。
ただ、東本も負けていない。2ラウンド開始5秒、今度は稲垣得意のヒザに合わせる形で左フックを振り抜きダウンを奪い返す。さらに東本は右を当て、稲垣がフラフラと後退する場面も。東本が優勢かと思われたが、稲垣のカーフが局面を変える。稲垣は足を止めての打ち合いからヒザを連打すると、得意のカーフで猛反撃。ラウンド終了間際に、東本の右足をえぐるようなカーフキックを連発。ぐっと堪えた東本だったが、追い打ちのカーフで足元からぐにゃりと崩れ落ち、苦悶の表情を浮かべて2度目のダウンと奪われた。
辛うじて立ち上がった東本だが、右足のダメージは大きい。インターバルの短い時間でもアイシングをして最終の3ラウンドへ。フルスイングの打撃で劣勢を打開したい東本だが、稲垣は冷静にカーフを放って東本の勢いを止めると、意識が下に集まったところで右ジャブ、ストレートをまとめ3度目のダウンを奪う。
東本はカーフを被弾する度に足元がぐにゃりと流れ、ダメージは明らか。すでに足に力がない東本にABEMA視聴者からは「もう踏ん張りが効かない」「足が真っ青に腫れている」「立っているだけでもツラそう」と悲痛な声が並ぶ。一方では、それでも前に出てフルスイングで応戦する東本の気持ちの強さに「根性は凄い」「心が折れてない」と励まし、称賛の声も聞かれた。
しかし、3ラウンド残り1分。果敢に至近距離での打ち合いに挑んだ東本だったが、最後は稲垣の打ち下ろし気味の左ストレートでアゴを打ち抜かれ、ついに力尽きるように前のめりに崩れ落ちた。
計4度のダウンを奪い盤石の勝利を挙げた稲垣は試合後のマイクで、自らの“パワーの源”と語るジムの子どもたちが見守る目の前で「スーパー・ライト級、若い俺たちが引っ張っていかないと盛り上がっていかないです。4月必ずベルトを巻くので、会場に見に来てください。ベルトを巻いてスーパー・ライト級の新時代を作ります」と力強く宣言した。