リモートワークが定着した企業も多い中、メールなどのテキストコミュニケーションは増えるいっぽうだ。
そもそも、仕事以外での友人とのメッセージアプリによる連絡やSNS投稿など、現代人に「書かない日」はないだろう。
そんな日常の中、「分かりにくい残念な文章」とその反対である「なんてわかりやすいんだ!と感動する文章」に出会うことがある。
両者は何が違うのだろうか。実はその答えは頭の良さや文章力・文才ではない。
昨年、文章力ゼロでも、スラスラと誤解のないテキストが書けるようになる「フォーマット」を紹介した書籍『THE FORMAT』(サンマーク出版)を上梓したキャスター取締役CROの石倉秀明氏に聞いた。
まずは、例を見ていこう。もし以下のようなメールが届いたらあなたはどう思うだろうか?
「田中くん、お疲れ様。来週A社に提案する予定があるので金曜までに提案資料を作っておいてもらっていいですか?
基本はB社と一緒でいいと思うけど、A社の懸念を潰せるようにしておいてください。
わからないことがあったら聞いてください。ではよろしくお願いします」
日常的に見かけるメールかと思うが、たしかに不明瞭な点も感じる。一体何が問題なのか。
「上記のようなメールは『言わなくてもわかる』『わかってくれるはず』という読み手の理解力に頼ってサボっている気持ちがあらわれています。これでは質問が五月雨式に届いたり、提出される資料がズレてしまったりして、かえってお互いの時間をロスします。
そもそも何のメールなのか、仕事のゴール・目的な何なのか、明確な期限はいつなのかが示されていません。それぞれの捉え方・感じ方は違うため、発信する側が求めていることを明確にする必要があるのです」(石倉氏)
石倉氏のメソッドでは、
①この文章は何か? ②誰が読む? ③この仕事のゴール、目的 ④具体的に頼みたい仕事 ⑤注意してもらいたいこと ⑥必要なデータ ⑦疑問や質問がある場合 ⑧この仕事の期限
というポイントを押さえる。例に挙げたメールに適応してみよう。
①この文章は何か?→来週月曜のプレゼン資料作成依頼
②誰が読む?→田中くん
③この仕事のゴール・目的→A社に、サービス内容を理解してもらう/先週のヒアリング結果の「懸念点」を潰す
④具体的に頼みたい仕事→B社に7月3日に提出したプレゼン資料をもとに、A社の懸念を解決する資料づくり
⑤注意してもらいたいこと→期限は金曜(○○日まで)/A社に送る前に確認したい
⑥必要なデータ→B社のデータは共有フォルダに入っています
⑦疑問や質問がある場合→チャットで連絡してください
⑧この仕事の期限→金曜(○○日)A Mまでにメールで送付ください。
いかがだろうか。上記を整理したうえでメールを書けば全く異なる文面が完成するだろう。その結果、田中くんからの五月雨式の質問もなく、プレゼン資料のピントも合うだろう。
繰り返すが、上記は仕事に限った話ではない。「わかりやすっ!」とほめられたい人・残念なメールを卒業したい人は「自身のテキストのフォーマット化」を検討してもいいだろう。
(『ABEMAヒルズ』より)