相次ぐ強盗事件の背後に“闇バイト” 5年服役の元指示役が驚いた「SNSの普及」 抜け出すためには
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 警視庁は26日、去年10月に東京・稲城市で住宅に侵入し住民にけがを負わせ金品を強奪した疑いで、真坂怜斗容疑者(23)ら7人を逮捕した。この事件の背後には「ルフィ」や「キム」「ミツハシ」と名乗る指示役がいて、彼らがフィリピンから発信したSNSを通じて指示を受けていたという。さらに、容疑者の一部は東京・中野区や広島県、山口県で発生していた他の強盗事件にも関与していたとみられ、同一グループによる全国規模の犯行が浮かび上がっている。

【映像】逮捕された“実行役”7人

 また、今回逮捕された7人からは、「日当100万円の求人に応募した」「闇バイトをしてから自宅に知らない男が訪ねてきて、監視かもしれないと思った」「家族に危害が加えられることを考えるとやめられなかった」という供述も。

 なぜ闇バイトに人が集まるのか。26日の『ABEMA Prime』で元刑事と特殊詐欺事件の元指示役を交えて議論した。

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 一連の事件について、元埼玉県警捜査一課・刑事の佐々木成三氏は「犯行形態が雑で、玄関脇の窓ガラスを大きな音で割ったにも関わらず2時間ほどいたという。捕まるリスクなどを全く考えていない、素人の犯行だ。ただ、被害者のほとんどが高齢者で、家族で住んでいたとしても1人になる時間を知っていたことから、犯行場所については指示役がある程度の情報を知った上で実行役に指示する手口だと感じていた」と話す。

 中には強盗殺人に至っているケースもあるが、“素人”がそこまでできるのか。今回「『殺してもいい』などと平気で言っていた」という供述もあるが、特殊詐欺事件で5年4カ月の実刑判決を受け、2021年に刑期満了したフナイムさんは次のような見方を示す。

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 「素人は“どこまでやったら人がどうなるのか”という加減を知らない。そして、『粘着テープで口を巻け、叩け』という指示役の電話で1人が叩き始めると、『お前もやれよ』と現場はなる。“やらなかったら自分がどうなるか分からない。じゃあやるしかない”という心理がどんどん悪い方向にいき、最終的に人を殺めてしまったのではないか」

 指示役はTwitterなどのSNSで闇バイトを募集した後、実行役とは秘匿性の高い「テレグラム」を使って個別にやりとりをした上で、本人確認のために免許証と自身の写真などを提出させ“逃げられない状況”を作っているとみられる。

 佐々木氏は「身分証明書を送らないと次の仕事の話が入ってこない。しかし、途中で退避しようとした時、今度はそれを元にゆすられてしまう大学生などがいる。犯罪を何回か繰り返した後に『家族がどうなっても知らないぞ』とか、車を没収されて『返してほしければあと2件やれ』と圧をかけられて実行してしまう人も実際にいる」と明かす。

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 フナイムさんは「身バレした時に家族に迷惑がかかってしまうとか、脅されてしまうといった恐怖心は拭えないので、“従うしかない”になると思う。一方で、現場に行ってしまえばお金を奪うことしか考えられなくなり、犯行に及んだ後はすごくドキドキしながらも達成感を覚えるということは想像できる」と述べた。

 こうした犯罪組織も活用するネットやSNSだが、フナイムさんもその発達に驚いたそうだ。「服役から帰ってきて特にすごいと思ったのは、インスタ映えとTikTok。どちらを見ても“シャンパン”“いい車”“お金を稼ごう”、そんな話題しかない。Z世代がそういう生活に憧れて、簡単にお金を作るにはどうしたらいいかを考えた時に、闇バイトを見つけて食いついてしまうというケースは考えられる」。

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 では、足を踏み入れてしまった後に抜け出す方法はあるのか。フナイムさんは「今回のケースだと免許証自体を奪われたわけではないので、特に何かされることはないと思う。というのも、警察に行かれるリスクがあるわけで、それなら他の闇バイトの人間を捕まえたほうが早い。警察に行ってもいいし、ブロックして連絡を取らないようにするなど、とにかく“怖くない”という勇気だ」と語る。

 佐々木氏は「実際、『1日5万円稼げる』ということで行ってみたら受け子のバイトだった、という大学生から相談があった。闇バイトだと気づいてやめると言ったが、学生証を渡しているので『大学に言うぞ』と。ただ、それは逃げさせないようにするための脅しだ。捕まってしまうリスクから、犯罪者は現実社会に出てくることを嫌がるので、逃げた人間は追いかけないということはあると思う」とした。(『ABEMA Prime』より)

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