わずか14%。これは男性の育児休業取得率だ。まだまだ低い状況にある。
そんな中、父親の育児参加が子どものメンタルに好影響を与えるというデータが発表された。詳しい話を国立成育医療研究センター 加藤承彦室長に聞いた。
「我々はまず、生後6カ月時点での父親の育児への関わり方を点数で評価し、4つの群に分けました。その結果、最も関わりが多かった家庭群は最も少なかった家庭群と比べて、子どもが16歳時点でメンタル不調になる割合が10%も少ないことが判明したのです」(加藤室長)
なぜ10%も減ったのだろうか。
「2つの要因が考えられます。第一に、父親が積極的に関わることで親子関係が良くなり、思春期などに子どもが悩んだ際に父親に相談しやすくなるという点。もう一つは、父親が育児に関わることで母親のストレスを軽減して家庭が円満になるという点。これらは子どもの精神に良い影響を及ぼすのです」(加藤室長)
父親はどの程度育児に参加するべきなのか。
「すればするほどいい、というわけではありません。『育児参加を全くしない群・ほとんどしない群が悪い状況に陥る傾向がある』という結果だったので、可能な範囲で積極的に関わることが大事です」(加藤室長)
では、シングルマザーの家庭はどうすればいいのだろうか。
「2年ほど前に『祖父母と同居しているシングルマザーのケース』と『2人親世帯』それぞれの母親のメンタルの状況を調査したが、結果に差は見られませんでした。父親じゃないといけない、ということはないのです。重要なのは一人に養育の責任が集中しないことです」(加藤室長)
父親・祖父母以外にも地域の協力や保育園の利用など、みんなで支え合い、母親のメンタルヘルスを改善することで子どもにもいい影響を与えられるのだ。
「現状、メインで養育しているのは母親です。子どもはメインの養育者の影響を最も受けるので母親の負担をいかに減らすか考える必要があるのです」(加藤室長)
精神科医の木村好珠にも見解を求めた。
「子どもがどんなに好きでもワンオペでずっと一緒にいると辛いものです。話を聞いてあげる・育児をシェアする存在がいれば大きいですね。加えて、嬉しい・楽しい・悲しいという情動は、5歳くらいまでに原型が形成されるので、母親の楽しい・嬉しいという感情を大人同士の会話のなかで見せることも大事ですね」(以下、木村氏)
シングルマザーは金銭面の不安を抱える傾向にある。育児と仕事のバランスも困難だろう。
「お金を蓄えなきゃ、と気負って仕事を頑張り、自分の心を疎かにしてしまう人も多い傾向にあります。『ちょっとメンタルが辛いな』と思っても先延ばしにしてしまうのです。その結果、もう働けない、という深刻な状況になってからクリニックに来られる人もいらっしゃいます。親のメンタルは子どもにも影響するので、そうなる前にまずは自分の心を第一に考えてほしいです」
まずは周りに相談し頼ること、そして、ひとり親家庭支援センターなどの選択肢もあることを忘れないでほしい。
(『ABEMAヒルズ』より)




