今月10日、東京大学で行われた襲撃者対応の訓練。襲ってくる男を警視庁の警官と大学の警備員が取り押さえるというものだ。去年1月には東大で受験生など3人が刃物で刺される事件が発生した。
また、全国で強盗・窃盗事件が相次いでおり、「ルフィ」や「KIM」などと名乗る人物からSNSで指示が出されていることがわかっている。去年10月の東京・稲城市の事件で逮捕された容疑者7人も指示を受けていたとみられるが、「『殺してもいい』などと平気で言っていた」との供述もあり、突然襲ってくる脅威に備える必要性は高まっている。
そんな中、YouTubeで再生200万回を超える反響を呼んでいるのが、「ガチタマTV」の護身術レクチャー動画だ。学校などにも置いてある護身グッズの定番「さすまた」について、「引っぱたいたり、突いたりしてもいい。そういったことを覚えておかないと、ただ抑えるだけになってしまう」と正しい使い方をレクチャーしている。
投稿した田村装備開発の代表で、元特殊部隊隊員の田村忠嗣氏は「日本人の防衛に対する意識はほとんどない」と警鐘を鳴らす。そこで、25日の『ABEMA Prime』では危機管理と身を守る方法について聞いた。
田村氏が訴えるのは、「周囲にもっと警戒を」「全力ダッシュ!」「闘うための備え」の3カ条。「電車ではほとんどの人がスマホを見ている。いきなり攻撃されたらどれだけ訓練をしている人でもやられてしまう。だから、周りにおかしい人がいないかなどをまず警戒すること。その後、誰かが変な行動をした、例えば刃物を出してきたりしたら、全力で逃げる。電車内など逃げられない場所の時は戦うしかないので、そういった決断をする」と話す。
逃げる重要性については、YouTubeで「格闘技を2、3カ月練習するよりも、毎日200メートルダッシュを10本やったほうがいい」と勧めるほどだ。
また、危機管理は横断歩道1つをとっても変わるといい、「信号機があるのは、そこが危ない場所だからだと考えなくてはいけない。赤信号で止まっていれば安全なのではなく、私の場合は信号機から離れたところにいたり、車が突っ込んできたら盾にできるように電柱のそばにいる。そういった考え方ができる」と説明。
では、刃物を持った相手と対峙する非常事態はどうすればいいのか。田村氏がYouTubeでも教えているのは「逃げるのが第一」ということだ。
「ナイフを持った相手は非常に脅威で、5~10人で戦っても全員やられてしまうぐらい。"戦えない"と判断したらすぐ逃げて、救急車や警察を呼ぶほうに徹する。また、お金を出せと脅されたら、支払うのも護身術だ。刃物に関して非常に大事なのが太い血管、動脈を守ること。例えば僧帽筋と鎖骨の間の三角形の部分を刺されるともう助からない。また、両腕の内側と、太ももの付け根あたりから体の中心も守らないといけない。相手の攻撃を腕の内側や脇で受けたり、びっくりして体を引いて刺されてしまうのが一番怖い。腕の外側は切られても死なないので、そこを捨ててでも逃げるのが非常に大事だ」
被害にあうのは力で劣る女性であることも多い。
「女性が男性に勝つのは非常に難しい。勝てるとしたら急所を狙うか、身の回りの物を使うこと。後ろから抱きつかれた時に、手元にボールペンがあれば、手に刺すだけで逃げられる。どうしても戦わなくてはいけない時は、まずは腕で頭を守って、その後に手を払ってボールペンで刺すように叩くのがいいと思う」
では、周りの人が襲われていたらどうすればいいのか。田村氏は、自分が勝てるかどうかを考えた上で、過度な反撃に対しては注意を促す。
「勝てない状況で助けにいっても被害が大きくなるだけなので、遠くから物を投げたりして援護する。正当防衛について多くの人が勘違いしているのが、“誰かに殴られた。だからやり返してもいい”というもの。まさに今受けている攻撃を防衛するための反撃ならいいが、逃げた相手を追いかけて殴ったりすると正当防衛ではなくなってしまう。下手なやり方をすると自分が罪に問われてしまう可能性がある」
そうしたことを踏まえ、日頃大事なことは「何が使えるかを考えておくことだ」とした。
「例えば、傘は使えるのか、ボールペンやカバンはどうなのか。自分が通勤する時、“この店にはこういう物が置いてある。道端にはこういうブロックが置いてある”と常にイメージしておく。私が歩く時は、“もしここで襲われたらこれを使って戦おう”とずっと考えているが、そうしないと瞬時に使うことはできない」
(『ABEMA Prime』より)
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