「武器供与を止めればロシアは聞く耳を持つ」ロシア担当の元外交官が語るウクライナ戦争の着地点
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 森喜朗元総理が25日、東京都内で開かれた会合で「こんなにウクライナに力を入れていいのか」「ロシアが負けるってことはまず考えられない。そういう事態になればもっと大変なことが起きる」と発言。波紋を呼んでいる。

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 犠牲者が増え続けるロシアによるウクライナへの軍事侵攻。2月で1年を迎えようとしているが依然、終わる兆しは見えない。『地政学と歴史で読み解くロシアの行動原理』(PHP新書)の著者で、ロシア外交に10年以上関わってきた、元外務省の亀山陽司氏はこう話す。

「負けない=勝つとは限らない。ロシア人からしてみれば『自衛のための戦争』という認識でいる。つまり何もしていなければ、包囲・圧迫されて、ロシアが衰退していく。それを座して見るのはできない。プーチン大統領はしきりに『我々はこれ以外に選択肢がなかった』と言っている。ウクライナ侵攻は最後の手段だった」

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 今月、ドイツは主力戦車「レオパルト2」を、次いでアメリカも「エイブラムス」をウクライナに供与すると決定。領土奪還を視野に、攻撃用の兵器供与に踏み切った。ウクライナのゼレンスキー大統領も「長距離ミサイルが必要だ」と訴え、さらなる支援を求めている。しかし、亀山氏は「根本的な認識の違いが存在する」という。

「アメリカや西側諸国は、ロシアが『何らかの野望を持ってウクライナを侵攻している』と考えている。例えば、経済制裁を加えたり、あるいは戦車をウクライナに供与して、ロシア側の死者が増えれば、攻撃をやめるだろうと思っている。だが、そういう話ではない。そこに根本的な認識の違いがある。負けを認める形で終結するのは、選択として考えにくい。だから『勝たないかもしれないが、負けない』はあり得ると思う」

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 どうすれば、戦争は終わるのだろうか。亀山氏は「一番簡単なのは、まず武器供与を止めることだ」と話す。

「ウクライナは『武器供与を止められたら我々は滅びる』と言っている。一方で、武器を供与すれば、戦争がエスカレーションして、もっと広がる可能性もある。どちらを選ぶべきか、非常に難しい。これは抱き合わせだが、もし仮にアメリカが動いて、なんとか妥協点を見つけようとするなら、武器供与を止めない限り、ロシアは決して聞く耳を持たないだろう」

(「ABEMA Prime」より)

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