「日本代表FW三笘薫はロナウジーニョ?」海外のサッカーファンは、三笘のプレーと稀代の名選手を重ねて見始めているようだ。きっかけはFAカップの4回戦リバプール戦での劇的逆転ゴールだった。
アディショナルタイムに入った91分、三笘はゴール前という心身ともにプレッシャーがかかる位置で、冷静に浮き球をコントロールした。そしてそのまま、ダブルタッチでボールを地上に落とさずアウトサイドでネットを揺らしたのだ。
三笘薫「これまでで最高の瞬間だった」劇的ゴール
この劇的な”リフティングゴール”で逆転を決めた三笘は、所属するブライトンの公式サイトで「終盤、最高のゴールで勝利したので、これまでで最高の瞬間だったと思います。とても幸せです」と満足感を示している。当然、クラブ公式Twitterが行った『プレイヤー・オブ・ザ・マッチ』の投票でも1位を獲得。FIFA ワールドカップ カタール 2022期間中、解説も務めた元日本代表MF本田圭佑氏も、Twitterで三笘のゴールを称賛した。
先日のレスター戦で決めたゴールは、イタリアのレジェンド、デル・ピエロ氏を彷彿させるもので、本人からもSNSを通じて賞賛される一撃だった。今回のゴールは、トラップの技術や相手の逆をつくフェイントから、バルセロナで輝きを放ったロナウジーニョ氏を思い浮かべる人も多かったようだ。実際、ヨーロッパのサッカーファン達のSNSでは「ワールドカップ以降のミトマはほぼロナウジーニョ」と評した投稿に2000いいね以上もの共感を集めるなど、大きく話題となっている。
イギリスメディアもこぞって三笘のスーパーゴールを紹介。『BBC』は「日本のウインガー・ミトマがレッズを驚かす近距離からシュートを放つ前に、素晴らしいボールコントロールを見せた」とコメント。リヴァプールの地元メディア『liverpool.com』では「秀逸なミトマを黙らせられなかった」とお手上げの様子だ。さらにはイタリアメディアでも「まるでジダン」など三笘に対する称賛はますます高まっている。
この三笘フィーバーに、本国のブライトン公式Twitterアカウントも強気だ。後日、プレミアリーグの公式Twitterアカウントが「技巧派特集」の動画を投稿した際は、その映像に三笘のシーンがなかったからか「三笘の映像はないの?」と、ブライトンの公式リプライ。泣いている絵文字とともに、やや抗議とも言えるような、冗談めいた投稿を行っているが、これに対して1000件以上のいいねがついている。これはすなわち、「三笘がプレミアの技巧派の顔になってもおかしくない」という文脈があるからこそ成り立つ、ブリティッシュジョークである。
まだプロになって3年。日本が誇る若きドリブラーは世界最高峰のリーグで花開き、実力も知名度もいよいよワールドクラスの選手になりつつある。バロンドールも夢ではない選手がとうとう日本から産出された。
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