プロレスリング・ノアの2.21東京ドームで行われる武藤敬司引退試合。その対戦相手がついに新日本プロレス、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの内藤哲也に決定した。

 新日本プロレスの1.21横浜アリーナ大会のメインイベント終了後、放送席でゲスト解説を務めていた武藤がリングに上がり、「内藤、俺の引退試合の相手はおまえに決めた。熱い試合をやろうぜ!」と呼びかけ、翌1月22日に正式決定。

 あれから8日後の1月30日、引退試合の相手に内藤を指名した理由を聞くべくインタビューを行うと、武藤の口から引退試合への出場すら危ぶまれる状態であることが明かされた――。(取材・文/堀江ガンツ)

ーー引退試合の相手がついに内藤哲也選手に正式決定したわけですが、いまの心境はいかがですか?

武藤 相手うんぬん以前に、いま俺自身が非常にピンチなんだよ。こないだのグレート・ムタのファイナルの試合(1.22横浜アリーナ)で両脚の大腿筋、ハムストリングスが肉離れを起こしてしまって、いま痛くてしょうがねえんだよ。いまのこの現状のままだったら試合ができないよ。

――引退試合出場が危ぶまれるほどの状態なんですか!

武藤 現時点では歩くのもままならないからね。あれから1週間経ったけど、ちょっと回復が遅いというか。あと3週間しかないから、気持ち的にはかなり追い込まれてますよ。プロレスの神様が最後の最後、俺に試練を与えたなって。

――レスラー人生の最後に最大の試練が訪れた、と。たしかに、肉離れって回復までに時間がかかりますもんね。

武藤 そうなんだよ。俺は前からヒザは悪かったけど、ああいうのは慢性的なケガで、どちらかと言うとじわじわした痛み。でも、この筋肉の痛みっていうのはもう激痛だからさ。歩けなくなっちゃうんだよ。だからいまホントに困ってるし、焦ってますよ。3週間でどこまで回復してくれるのか、俺もわからねえ。すべてが初めてだから。

――ムタは魔界に帰ったけれど、痛みだけは武藤さんに残ってしまったわけですね。

武藤 だから最初の質問に答えると、内藤は素晴らしい選手だし、ムタvsシンスケ(・ナカムラ)をこいつとなら超えられるんじゃないかと思って指名させてもらったんだけど。いま一番の敵は俺自身だから。ホントにいま闘ってますよ。

——武藤さんの中で「引退試合でグレート・ムタvsシンスケ・ナカムラを超えたい」という思いがまずあったんですね。

武藤 それもあるし、もともと彼から武藤敬司に対する愛情っていうのをすごく感じていた。だから、(引退試合の相手として)誰がいいかなって考えたとき、オカダ(・カズチカ)なのか、棚橋(弘至)なのか、はたまたノアの誰かなのか、外タレ(外国人レスラー)を呼ぶことも考えたよ。ぶっちゃけ、ザ・ロックとかもファンの中では盛り上がってたみたいだけど、いちおう会社では聞いてみたらしいよ。

――おー! ノアはザ・ロックにも出場打診してたんでですね。

武藤 でも、カネが莫大にかかって無理だよ。ホント追いつかない、数十億だよ(笑)。

ーー武藤敬司引退試合にふさわしい規模ではありますけどね(笑)。

武藤 いや、さすがに難しいだろ。そんな中でオカダと引退試合というと天龍(源一郎)さんのイメージがあるし、棚橋に限っては引退発表してから数度と絡んでるからさ。内藤だったら俺の直弟子でもないし、かといって武藤LOVEを感じるなかで、すごくいい距離感でいい試合ができるんじゃないかっていうことで名前を上げさせてもらいましたよ。

――内藤選手というのは、武藤さんの歴史の中でそんなに深く関わりがあった選手じゃなかったので、意外に思われた人も多かったようです。

武藤 昔の思い出とか、メモリーとして憶えているものをもう一回やったらどうかっていう意見もすごくあったんだよ。「髙田延彦戦をもう一回やってほしい」とかね。だけど俺自身は現役である以上、今を生きたいんだ。それで欲を言えば、レスラーである以上、最高の試合、最高のアートを作りたいと常々思ってるからさ。

――東京ドームを史上最大のプロレスリング・マスターズにはしたくなかった、と。

武藤 そうそう。やっぱり今を生きたい。

――現役38年間、“今”を闘い続けてきた自負もあるわけですよね。

武藤 そうですね。それで最後の最後にやっぱり、「これぞベストバウトだ!」って言われるような試合をしたいよ。できるかどうかわからないけど。それに向かって突き進むのが現役じゃないの? ただ、俺自身のコンディションがそれを許してくれるかどうか……。

――ベストバウトどころか、リングに上がれるかどうかも危ういわけですもんね。

武藤 だからこの1週間、俺もだいぶへこんでるんだよ。強気な言葉が出てこねえ。このインタビューもタイミング悪いよ(苦笑)。

――インタビューに答えてる場合じゃない、と(笑)。

武藤 ドームのマッチメイクを発表したら意外とみなさんから高評価をいただいていて、チケットもどんどん売れ行きが伸びたりしてるみたいで。そうすればするほどいまの俺のコンディションではプレッシャーがすごくてね。「どうなっちゃうんだろう?」と思ってさ。……欠場していい?

――いやいや。「KEIJI MUTO GRAND FINAL」という大会なんですから、そういうわけにいかないでしょう(笑)。

武藤 そうだろ? たぶんこれは這ってでも行かなきゃならねえだろ。

ーー2.21東京ドームは豪華カードが並んでますけど、やはり武藤さんの引退試合が一枚看板ですもんね。

武藤 そんなことはないよ。だっていまは清宮(海斗)vsオカダも話題になってるし、俺が関わった弟子たちもいっぱい参加してくれるみたいで、レスラー冥利に尽きますよ。

――たしかに清宮選手とオカダ選手の試合は、1・21横浜アリーナでの乱闘などもあり、いま武藤さんの引退試合に負けないくらいファンの間で話題になってますね。

武藤 おー、いいじゃないの。そうやって清宮自身が階段を上がって行くわけであって。良いことですよ。

ーー新日本vsノアの王者対決であるオカダvs清宮にも負けたくない、という思いはありますか?

武藤 変な話、今回の俺のライバルは、オカダでもなけりゃ内藤でもないんだよ。いま一番の敵は俺自身なんだよ。いま自分が自分に負けそうなんだもん。あと3週間あるけど、1週間経っても回復しねえんだよ。そこのストレスが溜まってしょうがねえ。

――3週間経ってもケガの回復状況が変わらなかった場合、どういうプロレスを見せようかとか、そこまで考えてますか?

武藤 そうだね。でもまあ、ありのままを見せるしかないからね。今は俺自身が恐怖心に負けそうだけど、やるしかねえよ。

(続く) 

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