全国各地で相次ぐ広域強盗事件をめぐり、フィリピンに収容されている男4人が、指示役「ルフィ」である可能性が考えられている。日本が特殊詐欺事件で4人の逮捕状を取り、身柄の引き渡しを求めるなか、フィリピンのレムリヤ法相は、送還による事態の早期打開を示唆した。
事の発端は、2018年から発生した、被害総額60億円以上にもおよぶ特殊詐欺事件だった。フィリピン当局は2019年11月、電話をかける「かけ子」の拠点を摘発し、36人を拘束した。しかし指示役とみられる渡邉優樹容疑者ら4人は、逮捕状が出ていながら拠点におらず、拘束を免れて、そのまま滞在していたとみられる。
そんな中、日本では2022年秋から「闇バイト」による強盗事件が続発し、「ルフィ」はフィリピンの収容所から指示を出していたとされる。ではなぜ、フィリピンを拠点にしたのか。現地の犯罪事情に詳しい、元山口組系暴力団会長の竹垣悟氏に聞いた。
「昔から犯罪を犯したら、フィリピンや東南アジアに逃げるのは、よくあったこと。日本からフィリピンに行った人間が、賄賂がまかり通る状況を作る。コネクションを作った人間と接触して、人脈を広げ、政府に顔が利く役人などに賄賂を渡し、いろんな面で便宜を図ってもらう」(竹垣氏)
また竹垣氏は、今回の事件との関連は不明としながら、「元指定暴力団の有名な幹部の息子が、いまフィリピンに行き、政財界に顔が利くようにしている」とも指摘する。裏社会では知名度が高い人物で、「フィリピンで今、裏の社会を牛耳ってと言ったらおかしいけど……。まあまあ有名な話」だと語る。
フィリピンでは貧困により、犯罪の加担につながることもある。また現地では、身分証明書がなくても、携帯電話のSIMカードを購入でき、足のつかない通信手段を入手できる。マニラ市内の携帯ショップ店員は、常連客として毎回約30枚を購入する日本人や、50枚程度を求める外国人の存在を明かす。収容所内でスマートフォンを使えた背景には、賄賂の横行も指摘されている。2022年12月にSIMカードの購入に身分証の登録が必要になったが、それでも現状、いくつかの抜け道が存在するという。
フィリピンにとって、日本は最大の援助国だ。マルコス大統領の日本公式訪問が行われる、2月8日の前までには、日本側の要請に応えたい構え。4人の容疑者のうち、藤田聖也容疑者と今村磨人容疑者の裁判は棄却。渡邉容疑者と小島智信容疑者の裁判は、当初予定されていた2月7日から、6日へと前倒しされている。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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