回転寿司チェーン「スシロー」店内で撮影された動画が、物議を醸している。
金髪の高校生が湯飲みやしょうゆボトルの注ぎ口をなめたり、なめた指で寿司を触ったりなどの動画が拡散され、スシロー運営会社の株価は急落。時価総額は一時、170億円も下落した。
スシロー側は、高校生と保護者からの謝罪を拒否し、民事・刑事両面から厳正に対応する方針を示しているが、この対応を中川みち子弁護士(AZ MORE国際法律事務所大阪事務所)は、どう見ているか。
「謝って終わりとすると、同じようなことが繰り返されてしまう。『やっていることが犯罪行為だ』と、人に損害をもたらしている行為と明らかにして、その責任をきちんととってもらう。『安易に行わないで』という警告の意味では、企業として必要な行為だった」(中川弁護士)
中川弁護士は、来客数や売上の減少、備品の交換などの費用請求に、少なくとも数百万円、場合によっては1000万円単位もありうると話す。
スシロー以外でも、「はま寿司」で客が無断でわさびをのせる、「くら寿司」で一度取った皿をレーンに戻してカバーで覆う(4年前の動画が今回の騒動で掘り起こされた)、うどんチェーン店では客が共用スプーンで天かすを口に入れる……といったイタズラ動画が撮影され、外食各社が対応を余儀なくされている。
「YouTuberが会計前の食品を食べ、窃盗罪として起訴され、有罪判決を受けている。覚醒剤に見せかけた白い粉を警察官の前で落として、偽計業務妨害で有罪になった例もある」(中川弁護士)
数々の若者群像を描いてきた、映画監督の井筒和幸氏は「あえて『ガキ』と言うよ。昔からガキはああいうことをするもの」と振り返りながら、動画投稿の目的が喜びなのか、有名になりたいかは不明ながら、「それは『私がやりました』と自首しているようなこと」だと指摘する。
「今までは黙って隠れてやっていた。本当に人生破滅する、訴えられたら」と、無断使用した映画を短く編集・公開した「ファスト映画」を例に挙げ、多額の損害賠償を求められる可能性を語る井筒。もし自身が迷惑行為を見たら、「大声で怒鳴りつけるしかない」と断言する。
「昔は不文律としてあった。『俺はお前を見捨てないけどな』という気持ちで言ってあげる。テレビや映画業界も、怖いプロデューサーやディレクターが『お前何やってんだ馬鹿野郎』とすぐ怒る。そうやって、みんなたたき上げられてきた」(井筒)
今回、井筒監督を取材した田辺健二氏(元『週刊SPA!』副編集長)は、ハラスメント意識が高まるにつれ、注意すると逆ギレ・報復されるおそれのある風潮を指摘。部下や後輩、サウナ客同士のトラブルといった事例を交えて、以下のように推察した。
「井筒監督は『人を怒ること』に及び腰な日本人に対して、怒っているのではないか。(正しく怒るコツとして)『俺はお前を見捨てない』という気持ちで怒る。あとは、キレずに冷静に怒った方がいいと話していた」(田辺)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側