「中国はヤバい国という感情に」「議会はブチ切れ状態」気球襲来で米中に亀裂? 安保専門家「言い訳も準備していたはず」
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 先週、アメリカ上空で丸い物体が相次いで目撃された。米政府は、中国の「偵察用気球」だとして4日、大西洋上空に入ったところでミサイルを発射。一発で撃ち落とした。

【映像】地図でわかる!中国の「偵察用気球」墜落までの進路(画像あり)

 一方の中国は「気象観測用だ」と主張。撃墜に対し「武力を使って民間の無人飛行船を攻撃した。明らかに過剰反応だ」として、厳正に抗議すると非難した。

 この一件は、米中関係にどのような影響をもたらすのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、専門家と考えた。

 防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄氏は「他国の気球が飛ぶのは領空侵犯だ」と解説する。

「主権の侵害だ。『空だから』と軽く見られがちだが、陸と同じように勝手に通ってはいけない。はっきりとした態度で見せたアメリカの選択は理解できる。サイバー攻撃を受けた時もやり返している。再発防止のために必要だと考えているはずだ」

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 気球が辿った経路を見ると、アラスカ側からアメリカに入り、カナダを通って再びアメリカに入っている。中国が遠隔操作していたのだろうか。

「拡大された映像をみると、小さいプロペラが付いている。ジェット気流に逆らって進むものではなく、ある程度の高さやコースの操作ぐらいはできると思うが、最終的には“風任せ”という部分はあるだろう」(高橋氏)

 アメリカは破片を回収し、分析を進めている。

 高橋氏は「もし衛星通信用のアンテナがあれば、リアルタイムで情報を取っていたことになる。それがない場合は、どこかでメモリを回収し、データを解析する予定だったのではないか」と話す。

 気球は「バス3台分の大きさ」で、飛行高度24〜37km(戦闘機:約20km、民間航空機:約12km)の高高度偵察用と見られている。

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 タレントでエンジニアの池澤あやか氏が「アメリカはドローン1台を飛ばすにもさまざまな法律がある。『飛行物が入っちゃった。てへぺろ』では済まないはず」と指摘すると、高橋氏は「中国は言い訳の準備もしていたはずだ」という。

「冷戦期にはソ連もアメリカも領空侵犯をやっていた。高高度を飛ぶアメリカの偵察機が撃墜されたこともあった。それは覚悟を持ってやっていて、もちろん“てへぺろ”じゃ済まない話だ。今回、中国にはどうしても取りたい情報があったのだと思う。すぐに言い訳できるよう、準備していたはずだ。だから反応が早かった。『見つかったらヤバい』とある程度わかった上でやっていた。ただ、これまで大騒ぎになると思っておらず、油断していた部分もあると思う」
 

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 日本でも東北地方で同じような目撃情報がある。一連の出来事は、今後アメリカや日本にどのような脅威となるのだろうか。
 
「中国がさまざまな情報を持つことになる。例えば、核ミサイルの基地や新兵器の実験場、特殊部隊の基地など、あらゆる情報が取られてしまう。台湾で何かがあったときにそれを使って、安全保障上の弱点を突くかもしれない」

 気になるのは、今後の米中関係だ。高橋氏は「アメリカ議会がブチ切れ状態だ」と話す。

「共和党と民主党の超党派から非難声明も出ている。中国が嫌がる下院議長・マッカーシー氏の台湾訪問も早い段階で行われる可能性が高まった。もう1つは、普通のアメリカ市民の中国に対する感情を変えていく可能性が高い。元々の情報はSNSだったが、その後テレビでも撃墜するまでリアルタイムで流れていた。例えとしていうと、日本の『寿司テロ動画』『特集詐欺事件のルフィ』のような感じで、気球を見ている。これまでは気にしていなかった人たちも『中国はヤバい国だ』と思うようになっている。感情は一度嫌いになってしまうと、なかなか好きには戻れない。中国自身が後になって事の重大さに気づくことになるだろう」

(「ABEMA Prime」より)

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