クラシック音楽に合わせてしなやかに踊る女性と美しいユニゾンを魅せているのは……ロボット。
Twitterに投稿されたこの動画には「スパイダーマンにこんなやついたよね」「すげぇ!『腕があと2本あればな〜〜』ってときあるから神やん」と大きな反響が寄せられている。
この動画を投稿したのは、東京大学・先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授だ。
「体に装着するロボットでできた第3・第4、さらに第5・第6の腕を研究していて、我々は“自在肢”と名付けている」(稲見昌彦教授、以下同)
第3・第4の腕、“自在肢”。コンテンポラリーダンサーの動きと調和し、まるで本物の腕と見間違うくらい滑らかな動きをしているが、一体どのようにして動かしているのか。
「例えば、足の動きをロボットの動きにしたり、肩の動きを反映させたりと色々やっているが、今回の場合は離れた所にいるオペレーターが、文楽人形みたいな形で操作した。傍から見ていても非常に興味深かったし、ダンサーの方も『ずっと踊っていたい』と言っていた」
さまざまな方法で動かせるロボットの研究を行う稲見教授。今回の自在肢は、リモコンを使って別の場所にいるオペレーターが操作しているそうだが、ダンサーたちは踊っていくうちに“ロボットの腕と一体”になるような感覚を覚えたという。
ロボットを装着することによって身体を拡張する。今回のダンス以外にも、その応用方法はさまざまだ。
「自在肢のような人間の能力を拡張するような技術を使うことによって、健常者の方と体が不自由な方が同じようにプレーできれば、すごいインクルーシブスポーツになるんじゃないかということで、さまざまなスポーツを皆で開発している」
稲見教授は、テクノロジーとスポーツを掛け合わせた「超人スポーツ」も開発している。
「今一番有名になっているものの1つとして『HADO』というスポーツがあるが、『ドラゴンボール』の“かめはめ波”みたいな形で手からビームを出して、小学生も大人も一緒に遊べるスポーツがある」
「超人スポーツ」であれば、テクノロジーの力で身体差によるハンデを無くし、同じ土俵で勝負ができるという。
AI・ロボットとスポーツの融合は今後、拡大していくと稲見教授は語った。
「今は情報化によって、eスポーツや競技プログラミングなどが広まっている。今後はそれを使いこなした我々が新しい産業をつくるとともに、『超人スポーツ』をはじめとする、情報と身体のDXがなされた新しいスポーツがきっと出てくると思っている」
(『ABEMAヒルズ』より)