サッカーの試合を観戦していて、スタジアムごとにコートのサイズが微妙に違うことに気づいた人もいるのではないでしょうか。サッカーコートはカテゴリーごとにサイズ規定が定められていて、グラウンドやスタジアムによってコートのサイズが異なることがあります。
この記事では、サッカーコートの実際のサイズ規定はどうなっているのか、詳しく解説します。
目次
- サッカーコートのサイズ規定はどうなっている?
- 少年(ジュニア)サッカーにおけるサイズ規格は
- グラウンドやスタジアムによってもサイズは異なる
- 各エリアの名称とサイズ規定は?
- サッカーコートのサイズまとめ
サッカーコートのサイズ規定はどうなっている?
サッカーコートのサイズ規定は大きく分けて「W杯(ワールドカップ)やオリンピックでの規格」「国際基準の規格」「公式規格」の3つ。これらの規格は、国際サッカー評議会(IFAB)による「サッカー競技規則」で公式に定められています。国際サッカー連盟(FIFA)に加盟している団体や組織はすべて「サッカー競技規則」に基づいて運営されています。
サッカーコートのサイズの違いは、タッチライン(コートの長い方の縦ライン)とゴールライン(コートの短い方の横ライン)に表れます。以下に3つの規格の具体的なサイズの違いをまとめました。
ワールドカップやオリンピックでの規格
一般的な国の代表チーム同士の国際試合では、下記の国際基準の規格が使用されますが、ワールドカップとオリンピックでは以下の規格が使用されます。
- タッチライン:100~110m
- ゴールライン:64~75m
上記の範囲内であれば、タッチラインとゴールラインの長さを自由に設定できます。
ただし、FIFAはワールドカップとオリンピックのコートの大きさを下記のように定めているため、通常はこちらのサイズが採用されています。
- タッチチライン:105m
- ゴールライン:68m
Jリーグでも「Jリーグスタジアム基準」で、上記規格に合わせた105m×68mを標準規格としています。
国際基準の規格
ナショナルチーム(国の代表チーム)同士の試合や、各国のクラブチームとの交流試合などで使用されるコートサイズは、以下のとおりです。
- タッチライン:110~120m
- ゴールライン:45~90m
ゴールラインの範囲は下記の公式規格と同じですが、タッチラインの範囲に違いがあります。
中学生以上の試合で用いられる公式規格とは
公式規格は、中学生以上の試合で使用されるコートに採用されているサイズ規格です。「サッカー競技規則」により、タッチラインとゴールラインのサイズは、以下に定められています。
- タッチライン:90~120m
- ゴールライン:45~90m
ただし「タッチラインはゴールラインよりも長くなくてはならない」と決められていて、縦横90mの正方形のコートは認められていません。
少年(ジュニア)サッカーにおけるサイズ規格は
成長過程にある少年サッカーでは、体の大きさや体力が上の世代よりと差があることを考慮して、競技時間が短縮され、コートの大きさも縮小されています。また、1チーム11人制と8人制の大会があり、それぞれ推奨するコートのサイズが異なります。少年サッカーの推奨コートサイズは下記のとおりです。
- <11人制サッカー>
- タッチライン:80m
- ゴールライン:50m
- <8人制サッカー>
- タッチライン:68m
- ゴールライン:50m
ゴールラインのサイズは11人制も8人制も同じですが、タッチラインは8人制が68mと短くなっています。これは中学生以上のコートサイズの約半分の広さで、大人のコート1面に対して、ジュニアサッカーコートは2面、確保できるようになっています。
グラウンドやスタジアムによってもサイズは異なる
海外のスタジアムは、ワールドカップやオリンピックで用いられる「105m×68m」が主流となっていますが、なかにはコートサイズが異なるグラウンドやスタジアムもあります。ここでは、主流サイズから外れているスタジアムの例を紹介します。
スタジアム名 | サイズ | ホームのチーム | 国 |
---|---|---|---|
アンフィールド | 101m×68m | リヴァプールFC | イングランド |
スタンフォード・ブリッジ | 101m×68m | チェルシーFC | イングランド |
エスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスフアン | 105m×70m | セビージャFC | スペイン |
エスタジオ・ド・マラカナン | 110m×75m | CRフラメンゴ、フルミネンセFC | ブラジル |
スタッド・ド・フランス | 119m×75m | サッカーフランス代表 | フランス |
各エリアの名称とサイズ規定は?
サッカーコートには、ゴールラインやタッチラインなど、さまざまなラインが引かれていて、それによって各エリアのサイズが決まっています。ここでは各エリアのサイズ感と位置を図解で紹介します。
ゴールエリアのサイズ
ゴールの一番近くのエリアをゴールエリアといいます。ゴールポストの左右から5.5mの距離に、ゴールラインに対して直角となる5.5mのラインを2本引き、2本のラインの先端を結んでできる長方形のエリアです。ゴールキックのときは、ゴールエリア内であればどこへでもボールを置けます。
ペナルティーエリアのサイズ
ペナルティーエリアはゴールエリアの外側にあり、左右のゴールポストからタッチライン側に16.5m距離をおき、ゴールラインと直角になるように16.5mの直線を引いて、その先端を結んだエリアです。
ペナルティーエリア内は、ゴールキーパーがボールを手で触っていい唯一の場所です。自陣のペナルティーエリア内でファウルをすると、相手にペナルティーキックや間接フリーキックが与えられます。
ペナルティーマークの位置
ペナルティーエリア内に描かれている、ペナルティーキックを蹴る位置のことをペナルティーマークといいます。ゴールポストの中心からゴールラインに対して直角方向に11mの距離に位置し、マークの大きさは直径22㎝と規定されています。
コーナーエリアの位置
コートの四隅にある、コーナーフラッグを中心に描かれた半径1mの四分円を、コーナーエリアといいます。コーナーキックを蹴るときには、このエリア内、もしくはライン上にボールを置きます。
ハーフウェーラインの位置
サッカーコートの中央に位置し、コートを半分に区切る線をハーフウェーラインと呼びます。長さはゴールラインと同じ範囲の45~90mです。ハーフウェーラインは自陣と相手陣地を区切る境界線となり、キックオフのタイミングではこのラインを越えて相手陣内に入ってはいけません。
センターサークルの位置
コートの中心に直径9.15mで描かれた円をセンターサークルといいます。サッカーの試合はセンターサークルの中心にボールを置いて始まり、キックオフを行わないチームの選手は、キックオフされるまでセンターサークル内に進入できません。またPK戦のときには、ボールを蹴る選手とゴールキーパー以外の両チームの選手は、センターサークルの中にいなければならないと定められています。
テクニカルエリアの位置
テクニカルエリアは、試合中に監督やコーチなどが選手に指示をする空間です。特定されたベンチから両横に1m、前方にタッチラインから1mの範囲を指します。原則として、テクニカルエリアに入れるのは1人のみです。
サッカーコートのサイズまとめ
サッカーコートのサイズは規定が定められていますが、その大きさには幅があります。大きさが異なる理由としては、サッカーが多くの国でプレーされているため、環境や地域によって採用されるサイズが異なっていること、スタジアムによって採用している規格が異なることなどが考えられます。
しかし、グラウンドやスタジアムによってコートサイズが多少異なっていたとしても、サッカーコートはどれもIFABが定める「サッカー競技規則」を遵守したサイズとなっています。そのため、どのサイズのコートでも基本的に問題なくプレーできるようになっています。