テンプルに突き刺す左が炸裂。その直後、ほんの時間差で制御不能となり“前のめり”に崩れ落ちる衝撃の失神KOに実況席も驚愕。現役ファイターからはマットに頭から落ちてバウンドすることを意味する危険ワード「セカンドインパクト」という言葉も飛び出し、敗者のダメージを案じる一幕もあった。
2月10日にタイ・バンコクで開催された「ONE Friday Fights 4」、フェラーリ・フェアテックス(タイ)とファビオ・ヘイス(ポルトガル)の対戦は意外なエンディング。試合を終始コントロールしていたフェラーリが、ヘイスの一発のパンチで失速。猛ラッシュの末にテンプルを打ち抜く左でマットに沈んだ。
筋骨隆々の肉体、煽り映像では「爆発するような破壊力」と打撃をアピールしたヘイスと、2021年のタイ年間最優秀ファイターであるフェラーリ。フェラーリはONEで2戦目となる。
ゴング開始とともにフェラーリの鋭いローに足元がグラつくヘイス。さらにガードの間を縫うような鋭いパンチも突き刺さる。前に出るヘイスだが、フェラーリのテクニックを前に何も出来ず、大振りのパンチはことごとく空を切る。ラウンド後半に飛びヒザ、縦ヒジを次々と被弾し、その差は歴然で1ラウンドを終えた。
2ラウンド、フェラーリはハイキックを連発してギアを上げる。相手を倒す強い意思も感じられる。得意の前蹴りやミドル、さらに急加速してのヒジ、飛び蹴りともはや無双状態でヘイスを追い込んでいく。
「ヘイスは見掛け倒しだった」そんな冷ややかなコメントが視聴者から寄せられたその時だった。至近距離の打ち合いから、フェラーリのパンチをかわしたヘイスがゲンコツのような右でフェラーリの側頭部を捉えると、思わずヒザをついたフェラーリ。
突然の被弾に動揺した様子のフェラーリは、足元よろよろで、必死にヒジやミドルで立て直そうとするが、ヘイスの圧でコーナーに串刺し状態に。一方、一気呵成のヘイスはボディやアッパーを次々と叩き込むと、最後はフルスイングの左をテンプルに突き刺して勝負あり。一瞬、動きが止まったヘイスは時間差でぐにゃりと脱力しながら足を投げ出すように前のめりにダウン。最後はリングに這いつくばるように崩れ落ちた。
衝撃のKOシーンにABEMA視聴者は「凄い倒れ方」「意外な結末」「時間差で倒れた」など騒然。スローでのKOシーンには「白目をむいていた」「完全に飛んでいた」といった驚きの声も並んだ。
KOされたフェラーリは全く動けず、担架で運ばれながらリングから退場。壮絶ラストにゲスト解説の鈴木千裕はパンチの衝撃の次にマットに頭を叩きつけられるダメージの大きさについて言及。「失神して前のめりに倒れる。意識を絶たれて地面にバウンドして倒れるセカンドインパクトは脳のダメージが大きい。心配です」と選手の視点から前のめりダウンの危険性を強調していた。